iDeCo加入者は確定申告でお金が戻ってくる 年末調整を忘れた人は必ず読んでおきたい

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税金の額は、所得の多い少ないによって当然違ってきますので、一つの例として課税所得が400万円の場合を例にとって考えてみましょう。iDeCoの掛金はその人の職業や置かれた状況によって掛けられる上限金額が決まっています。仮に中小企業などで企業年金のない会社に勤めるサラリーマンであれば掛金額の上限は月額2万3000円ですから、年間では27万6000円となります。この金額が全額所得控除されるのです。つまり、この金額だけ所得が少なく計算できるということです。これによってどれぐらい税金が少なくなるかと言えば、年間で所得税と住民税を合計すると約8万4000円になります。

課税所得ではイメージしづらいかもしれませんが、条件によって異なるものの、課税所得400万円というのは年収ベースでみると650万~700万円ぐらいのイメージです。そこで今度は年収で考えてみましょう。仮に年収が500万円のサラリーマンの場合だと、戻ってくる税金の金額は5万5200円と計算されます。もちろんこれは一般的なケースで、人によって控除額が異なればこの金額も変わってきますので、おおよそでしかありません。また住民税は翌年課税されますので、この金額全部が年末調整で戻ってくるわけではありませんが、そうは言ってもこれぐらいの金額が税金から減るというのであれば、これは決して馬鹿になりません。昨年の年末調整で戻ってくる額が大きいと感じる人が多いと予想したのも、ここにその理由があります。

iDeCoの年末調整を忘れたら、確定申告をしよう

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実際、昨年2017年の1年間でiDeCoの加入者がどれくらい増えたかというと、40万人近くが増えています。2016年末で30万人だった加入者は2017年11月末で約71万2000人(厚生労働省HPより)ですからわずか11カ月で約41万人あまり増えたわけで、恐らく2017年末までの数字で見るとさらに増えると想定されます。すなわち、これだけの人にとって、新たに所得控除が拡大した結果、戻ってくる税金が増えたということになります。したがって年末調整で税金の戻る金額が増える人が多くなるのも当然なのです。

ただし、中にはiDeCoには加入したものの、年末調整の戻り額が全然増えていないという人がいるかもしれませんね。それは恐らく手続きをしていないのだろうと思います。一部の人を除けば、2017年に加入した人には10月末までに「小規模企業共済等掛金払込証明書」というのが送られてきているはずです。それを会社に提出すると共に、年末調整の用紙に加入している生命保険等の保険料払い込み金額と同じように記入しないと控除は受けられません。「え! 年末調整終わっちゃったじゃん。そんな手続きしてないよ! それじゃあ税金が損じゃない!」と思っている人も大丈夫。心配することはありません。もし会社への申告を忘れてしまったら、2018年に確定申告をすればいいのです。

もし、自分の周りに「うん、実は2017年の年末調整は結構たくさん戻ってきたよ!」という人を見かけたら、ご自分もiDeCoの所得控除のための手続きを忘れていないかどうかチェックしてみてはいかがでしょうか。

大江 英樹 経済コラムニスト、オフィス・リベルタス代表

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おおえ ひでき / Hideki Oe

大手証券会社で25年間にわたって個人の資産運用業務に従事。確定拠出年金ビジネスに携わってきた業界の草分け的存在。日本での導入第1号であるすかいらーくや、トヨタ自動車などの導入にあたりコンサルティングを担当。2003年から大手証券グループの確定拠出年金部長などを務める。独立後は「サラリーマンが退職後、幸せな生活を送れるよう支援する」という信念のもと、経済やおカネの知識を伝える活動を行う。CFP、日本証券アナリスト協会検定会員。主な著書に『自分で年金をつくる最高の方法』(日本地域社会研究所)、『知らないと損する 経済とおかねの超基本1年生』(東洋経済新報社)などがある。

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