人気アプリの裏にあるネット広告不正の実態 ダウンロード成果を横取りするあきれた手口

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①広告が表示された時点で、クリックしたことと同等の扱いにして取得。なお広告はスマホ画面上で視認できなくてもデータさえ読み込んでいればいい
②動画広告が再生された時点でクリックしたことと同等の扱いにして取得
③誤ってクリックしてしまう枠(誤タップ枠)に広告を配信し、誤クリックされた段階で取得
④強制的にその広告案件のアプリ販売ストアに移動させる(強制クリック)タイミングで取得

いずれもスマホのウェブブラウザ上ではなく、ニュースアプリなどアプリ上に掲載されている広告が使われる。また、③以外は広告をクリックしていないのに勝手にクリックしたことにされるのが共通点だ。詳細は省くが、勝手にクリックしたことにするのは容易であるという。

広告IDはスマホ上で確認できる

「ラストクリック」を奪取して広告費をかすめ取る

このようにして取得したIDで、次に行うのが「ラストクリック」の奪取だ。

アプリ販売ストアでダウンロードされるまでの過程では、同じ広告が何度も見られたりクリックされたりするケースが当然予想される。その場合、ダウンロードという「成果」は、最後にクリックされた広告のものになる。

悪徳業者はこのラストクリックの獲得を目指す。そのためにはとにかく取得したIDを総動員して、みずから用意したメディアに掲載された広告をクリックさせていく。アプリがダウンロードされると、ラストクリックを獲得した広告の出されていたメディアに広告収入が入るからだ。

言ってみれば「下手な鉄砲も数撃てば当たる」という戦法だ。弾の当たる確率を高めるには、ダウンロード数が多い人気アプリを狙えばいい。さらに広告費を大量投下しているアプリであれば、不正の入り込む余地も大きくなる。

しかもアプリをダウンロードするユーザーは、そもそもそのアプリに興味を持っていた人だ。ダウンロード後もきちんと利用してくれるなど広告主からすると質もいい。つまり偽装されたラストクリックであっても、広告掲載先として表面上は優等生なのだ。

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