日本の「少子化対策」はプーチン大統領に学べ

出生率アップのいい事例はロシアにあった?

「知日派」のプーチン大統領は日本の少子化や人口減を憂慮し、ロシアの取り組みを参考にするよう暗に持ち掛けたのかもしれない(撮影:日本雑誌協会代表取材)

フランスの著名な歴史人口学者、エマニュエル・トッド氏が毎日新聞(12月10日)のインタビューで、先進国では出生率が高いフランスは「経済も治安も悪い」が、「次世代の人口が維持できるので数十年後も存続する。日本はわからない」と日本の人口減少に警告。「出生率アップのいい事例はロシア。ぜひロシアの政策を研究すべきだ」と提言した。ロシアはソ連邦崩壊後の経済危機で、毎年人口が大幅に減少したが、ウラジーミル・プーチン露大統領は積極的な財政的インセンティブを導入し、出生率は著しく改善した。昨年から再度低下し始めると、大統領は最近、新たな出産奨励策を発表した。国家存亡にかかわる人口減少に直面する日本にとって、「人口対策はプーチンに学べ」ということになる。

「母親手当」で出生増

本記事は会員制国際情報サイト「Foresight(フォーサイト)」(新潮社)からの転載記事です

ソ連崩壊後、経済・社会混乱が続いたロシアは1990年代に少子化が進み、1人の女性が生涯に産む子供の数を示す合計特殊出生率は、1999年には1.16まで落ち込んだ。男性の平均寿命が60歳前後と低かったこともあり、毎年70~80万人規模で人口が減少していた。

こうした中で、プーチン大統領は2006年の議会演説で、「人口減少は国家危急の問題であり、国家の存続が脅かされている。それは愛と女性と家族にかかわる問題だ」と力説。人口増を「国家プロジェクト」に指定し、第2子を出産した母親を対象に、25万ルーブル(当時のレートで約110万円)を住宅取得・修繕費、教育費、母親の退職後の年金加算などの形で国家が支払う方針を発表。児童手当の増額、母親の産休中の賃金保証なども含め、2007年から実行させた。

「母親資本制度」と呼ばれるこの一時金は、第3子以降についても適用され、額も毎年増加され、現在は約45万ルーブル(約86万6000円)。ルーブルの為替レートが下落し、外貨換算では減少しているが、平均月収の7~8カ月分といったところだ。

都市部はともかく、地方ではかなりの奨励金となり、出生率は導入前の2006年の1.30%から、導入後は1.41%(07年)、1.50%(08年)、1.54%(09年)と好転し、2015年は1.75%まで上昇した。1990年代に年間110~120万人程度だった新生児の誕生数は、2015年は194万人に増加した(2015年の日本の合計特殊出生率は1.45。出生数は100万5677人だが、2016年から100万人を割り込んだ)。

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