大企業さえ知らない「自動ネット広告」の死角 「トンデモサイト」への掲載はブランド毀損だ

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だからこそ、ネット広告にブランド毀損リスクがあることを、広告主企業は厳しく認識する必要がある。「出てしまうのだから・防ぎようがないから仕方がない」という感覚は、世界的には非常識となりつつあるのだ。

イスラム過激派に大手企業が「資金提供」

問題サイトへの広告出稿は2016年ごろから、欧米企業の間で「ブランドセーフティ」と呼ばれる問題として意識が高まっていた。決定的な分水嶺となったのは、2017年2月。YouTube にイスラム過激派の支持者によって投稿された動画があり、そこに独メルセデス・ベンツや英国の高級ホテルの広告が配信されていることを、英国の高級紙タイムズが報じた事件だ。

このときの広告も、グーグルの広告配信システムで自動表示されたもの。企業が意図した出稿ではないが、過激派支持者に広告収入が配分されるという結果は厳然として存在する。大口広告主は次々とYouTubeから広告を引き上げ、グーグルも対策を講じたことを声明で明らかにしている。

近年、ネット広告が急速に拡大したのは、企業にとって経済的な合理性があったからだ。つまり、オールドメディアでの広告に比べ狙いたい消費者に絞って広告を表示でき、露出した総量に対するコストも低いといった特徴がネット広告にはある。

だが、そのネット広告が計測しようのないブランド毀損リスクを抱えていることに、日本企業も意識を高める必要がある。今回、週刊東洋経済が指摘した広告出稿は、氷山のごくごく一角に過ぎない。

広告主企業からの回答一覧(要約、50音順)

●キリン

広告が出稿されていることは、把握していなかった。問題の有無と対処については、現在精査している(コーポレートコミュニケーション部)

●ANA

サイトを閲覧されているユーザーにターゲティングして広告が掲載されているケースと認識している。これまでもこのようなケースへの対応として、不適切なサイトに広告掲載しないよう、配信先の除外設定(ブラックリスト化)を行ってきた。本サイトも配信先の除外設定を行った。今後はホワイトリスト対応等も視野に入れる(広報部)

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