大企業さえ知らない「自動ネット広告」の死角 「トンデモサイト」への掲載はブランド毀損だ

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各サイトの広告は基本的に、閲覧者のネット利用履歴を基に表示される「リターゲティング(リタゲ)広告」。週刊東洋経済編集部の記者8人が異なる端末・ブラウザを使って調べ、結果が特定の記者の履歴に左右されないよう配慮した。その結果、4つのうちいずれかのサイトに、以下のような企業あるいはブランドの広告掲載が確認された(50音順)。

アマゾン/キヤノン/キリン/グリー/コナミデジタルエンタテインメント/全日本空輸(ANA)/ソニーネットワークコミュニケーションズ/トヨタ自動車/日産自動車/日本航空(JAL)/日本たばこ産業(JT)/野村不動産ホールディングス/ファーストリテイリング(ユニクロ)/フィデリティ証券/富士通/村田製作所/オーネット(楽天傘下)/LIXILグループ

全社が「知らなかった」

果たして企業は、こういったサイトに自社の広告が掲載されていると知っているのだろうか?上記のうち相対的に売上高の大きい複数の日本企業に問い合わせたところ、回答を寄せた11社すべてが「掲載されているとは知らなかった」と答えた。

また11社のうち6社は、ブランドマネジメントの観点で問題があるとして、当該サイトへの出稿を停止したか、取引先の広告代理店などに停止を要請する方針を固めた(回答の詳細はこの記事の末尾にまとめて掲載)。

今回は極めて限定な規模で調査したが、結論として指摘できるのは、「問題サイトへの出稿はどれも企業側が意図したものではなく、グーグルなどの広告配信システムが機械的に出稿先を決めていた」ということだ。

大手企業のネット広告は基本的に、広告代理店を窓口として、DSP(デマンドサイドプラットフォーム)やアドネットワークといった中間業者を介して無数のサイトに配信される。この中間業者には、米グーグルやヤフージャパン、サイバー・コミュニケーションズ(電通傘下)といった企業がある。

ネット広告の取引はオールドメディアの時代に比べて複雑だ。またネット上の問題サイトは無数にあるし、日々新たに生まれてもいる。オールドメディアの時代には、企業が広告出稿の実態を目視で基本的に確認できたが、ネット時代にはその作業は不可能だ。

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