新幹線「重大インシデント」はなぜ起きたのか

台車に亀裂発見、考えられる原因は?

まず(1)は、台車枠のひび割れが発端で、ギアボックスからのオイル漏洩などが起きたという可能性である。仮に台車が金属疲労などで割れたのなら極めて深刻な事態だ。ちょうど神戸製鋼などのデータ偽装が社会問題化している中で、こういった問題と今回の事故を結びつけるような議論も目にしたが、そのような疑念が出てくるのもタイミング的には仕方ないかもしれない。

台車枠に何らかの理由でひびが入って歪みなどが生じ、その影響でモーターの回転を車軸に伝えるための継手に力がかかって焦げ付き、ギアボックスまで損傷するという可能性は考えられるが、直前の検査では台車枠に異常は見つからなかったと報じられており、現状では詳細は不明だ。

一方、台車枠にひび割れが生じた際の「衝撃」が車軸に伝わって継手を損傷し、ギアボックスのオイル漏れを起こすという可能性は、よほどの大きな力が働かない限りは考えにくそうだ。鉄道車両の台車は一般的に、車軸を受ける「軸箱」と台車枠の間にバネを介している。車軸の振動がそのまま台車に伝わらないようにするためだが、反対に台車側に何らかのショックが発生した場合も、その衝撃は車軸にダイレクトには伝わらないといえる。

【1月5日18時追記】記事初出時、「また、そのように大きなショックなどが発生した場合、N700Aや今回のようにN700Aタイプに改造した車両には『台車振動検知装置』が装備されており、異常な振動などがあれば運転台に表示されるようになっているため、運転士が気づくであろう。」との記述がありましたが、改造した車両には台車振動検知装置は搭載されていませんでした。訂正いたします。

煙が充満した過去のトラブルでは…

一方、(2)については、過去に発生した2つのトラブルとの比較で考えてみたい。まず、2010年3月に姫路―新神戸間を走行中のN700系(N2編成)12号車の車内で焦げ臭いにおいが発生し、さらに白煙が充満するというトラブルがあった。この時は、12号車に2つある台車のうち1つの台車にあるギアボックスが破損し、漏出した油が煙として車内に流入した。原因としては、ギアボックス内部のベアリングが割れてギアボックスを損傷したと発表されている。

このトラブルを起こした「N2編成」のNはJR西日本所属を意味し、N2はその2番目の編成ということを示すが、「N編成」はその後、N700Aタイプへの改造工事を施されて「K編成」に変わっている。ということは、この「N2編成」は現在は「K2編成」となっており、今回問題の発生した「K5編成」も2013年に改造される前は「N5編成」だった。製造は同時期で、恐らく使用部品も重なっていると考えられる。

そう考えると、今回の故障もこの2010年3月の問題と同じように、ギアボックス内の故障が原因であり、そこからオイルの漏洩、車軸の異常、そして台車の亀裂という順番で問題が発生していったという仮説を立てることができる。

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