信号未完成「空港線」はぶっつけ本番で走った 工事完了と同時に、客を乗せた列車が通過

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さらに進んでいくと、上り線で架線設置作業が行われていた。電車線とき電線こそ本設置されていたものの、ほかのケーブルは仮設状態。さらにレールも敷設だけはされているものの歪みが目立つ。これでは明日いきなり電車を走らせる、まして乗客を乗せるなどというのは、とうてい不可能と判断し、筆者は炎天下の線路歩きを中断した。

歪みが目立つ線路(筆者撮影)

たが、結果から先に言ってしまうと、電車は走ったのである。実は24日夜に、KAIマンガライ工場で働く知人から、「明日は予定通り空港線試運転を行う、一般開放するから乗りにきな」との連絡が入った。日中現場を見てきた者にとっては、まさか、の知らせである。ケーブルの状態から判断すれば、信号機は未稼働だろう。

迎えた25日、筆者は再びバトゥチェペル駅に向かった。すると、KAI所有の幹部用巡視車が構内に停車していていたが、空港線ホームではショベルカーがせわしなく動いており、どう考えてもここを電車が通過するという雰囲気ではない。しかし、関係者の話によると、これから巡視車で駅部の入線確認を取り、予定通り空港特急車両は空港まで試運転を実施するとのことだった。

空港と駅のアクセスも未完成

とはいえ、案の定ホームに巡視車が接触し、保線工により線路の調整を行った。すでに試運転列車は本開業後の始発駅となるマンガライ駅から乗客を乗せ、出発しているというときに、である。

試運転当日もバトゥチェペル駅では工事が行われていた(筆者撮影)

ただ、その直後に空港方面から保線用機材が到着し、とりあえず空港線の電車が走行できるようになったようだ。そして、その約20分後、試運転列車は姿を現したのである。

信号機がまだ稼働していないため、運転士の目視による安全確認に頼って、列車は空港線にゆっくりと入線していった。運転士にとっても初入線区間である、新線区間は時速20kmの低速走行であった。筆者はその時間を活用して、先回りして空港駅に向かい、そこから乗車することにした。

まだ完成していないAPMの駅(筆者撮影)

空港に着いて、一番問題になったのは空港鉄道の駅舎にはどのようにして行けばよいのかということだ。各ターミナルから鉄道駅へつながるAPM(ターミナル間などを結ぶ無人運転車両)はまだ完成しておらず、かといってデッキは設けられていない。筆者は空港内道路を無謀にも横断し、なんとか鉄道駅に到達し、工事作業者用通路から駅舎内に案内されたが、いくら電車が走行可能になったとはいえ、本来の目的での利用には程遠い状況であった。これでは空港鉄道が仮に暫定開業しても、利用者が右往左往する姿が目に浮ぶ。

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