金融市場の「不穏な動き」に備える投資の知恵

次のターゲットは「債券」「為替」?それとも?

実際に、ここ2~3週間で、世界の金融市場にはやや不穏な動きが出ている。いくつか紹介しよう。

●米国ハイイールド債市場……ジャンク(投資不適格)債などの高利回り(ハイイールド)債券に投資する「iシェアーズiBoxx米ドル建てハイイールド社債ETF」が、この10月24日をピークに下落に転じている。11月15日までに2%を超える下落を記録。株式では大した変動幅ではないが、債券ファンドでは大きな下落となる。11月中旬の米国株軟調の原因とも言われた。

その後、価格は戻りつつあるが、ちょっと遅れて投資家心理を示す「恐怖指数」とも呼ばれる「VIX指数(先物やオプション市場が下落すると上昇する指数)」が上昇するなど、債券市場に何か異変が起きている可能性もある。

指標となる上海総合指数が大きく下落

●中国債券市場……11月20日から始まる第4週は、中国の上海株式市場で異変が起きていた。指標となる上海総合指数が大きく下落。その原因と思われたのが、中国10年債利回りの急騰(価格は急落)だった。中国債券の心理的節目と言われてきた4%を一時突破したことで、株も売られた。

米国のハイイールド債券のリスク顕在化とも関連しているとされるが、シャドーバンクを使った理財商品(高利回りの運用商品)を銀行のバランスシートに組み込んで、透明性を高めようとする中国政府の改革の一環と言って良い。これまで、強制的に債券利回りは抑えられてきたわけだが、ここにきて債券利回りの正常化の動きが強まっている、と考えていいだろう。

●米国株市場……米国株が割高なのかどうかは賛否両論があるが、最近になってゴールドマンサックスも指摘したように、いわゆるハイテク株と呼ばれる銘柄の割高感がある。フェイスブック、アップル、アマゾン、ネットフリックス、グーグル(アルファベット)といった「FAANG(ファング)」と呼ばれる銘柄の時価総額は、2兆6000億ドルにも達する。ゴールドマンサックスの指摘によって、これらのハイテク株が売られて、ハイテク銘柄中心の株価指数「ナスダック」が大きく下落した。

米国の時価総額は、世界全体の時価総額の合計の半分を超えている。言い換えれば、米国は株式市場に入ってくるマネーによって、豊かさを保っている「株式市場依存型経済」とも言える。米国の株式市場が、わずかに動いただけでも日本や新興国は大きな影響を受ける。

また、株式に投資するタイプETFの存在が大きすぎることもやや懸念材料となっている。ETFのベースとなる「インデックス・ファンド」は、あくまでも指数に連動するファンドだ。市場は、今やアルゴリズムを駆使した、コンピュータのプログラム売買が主流になっている。超高速取引がもたらす「フラッシュ・クラッシュ(瞬間暴落)」といった不測の事態に対して、株価指数がどんな動きになるのか想定できない。

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