学生を金品で動員、原子力巡ってまた不祥事 「核のごみ」処分地に関する意見交換会で謝礼

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さらにNUMOは、オーシャナイズの話として、昨年8月のさいたまの集会でも、学生4人に各5000円程度の謝礼が支払われていたと明らかにしている。

「元請け」となった地域力活性化研究室との関係にも疑念の目が向けられている。同社の鰀目(えのめ)清一朗代表は、NUMOの「広聴・広報アドバイザリー委員会」の委員を2014年まで務め、広報戦略のあり方を提言してきた。その一方で、広報活動業務を2013年から電通の下請けなどの形で受注していたようだ。

こうした関係に利益相反はないのか。NUMOによれば、「一般競争入札を妨害するような取引の情報が同委員会に提供されていなければ、特段問題にはならない」との意見を顧問弁護士から得ていたという。

地方新聞社に大きな影響力

鰀目氏は北国新聞社に勤務し、全国地方新聞社連合会で主任研究員を務め、「地方新聞社に大きな影響力を持つ人物」(NUMO関係者)。NUMOは鰀目氏の人脈や、電通から紹介を受けたというオーシャナイズの学生動員能力に頼った。

『原発プロパガンダ』などを著し、原子力の広報・広告業務に詳しい文筆家の本間龍氏は、「NUMOに広報の専門能力がない以上、外部に頼らざるをえない。形を変えて不祥事は繰り返される」と語る。NUMOの今後の活動に打撃となるのは間違いない。

岡田 広行 東洋経済 解説部コラムニスト

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おかだ ひろゆき / Hiroyuki Okada

1966年10月生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1990年、東洋経済新報社入社。産業部、『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、企業情報部などを経て、現在、解説部コラムニスト。電力・ガス業界を担当し、エネルギー・環境問題について執筆するほか、2011年3月の東日本大震災発生以来、被災地の取材も続けている。著書に『被災弱者』(岩波新書)

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