インドネシア在来線高速化も中国が奪うのか 成立寸前でさらわれた高速鉄道の二の舞いも
インドネシアでは目下、JICA(国際協力機構)が中心となって、ジャワ北本線高速化事業(在来線の高速化工事、日本でいうスーパー特急に相当)のF/S(フィジビリティスタディ:実現可能性調査)が進められている。その事業をインドネシア国内でアピールする特別列車が、10月7日、首都ジャカルタのガンビル駅と第二の都市スラバヤのパサールトゥリ駅の間で運行された。
インドネシア初にして唯一の国産ディーゼル機関車CC300型が運輸省所有の高官専用車を牽引し、ジャカルタ―スラバヤ間を9時間10分で走破した。高速化工事が完成すると、これが約5時間に短縮される。CC300型は2012年~2014年にかけて5両が国営車両製造会社、INKAによって製造されたものの、性能的な問題からいまだ営業運転に就いていない。通常は工事用列車ないし、INKAで製造された客車の試運転に使用される程度である。
現地メディアは冷ややかな反応
その機関車が初めてジャカルタに入線し、北本線をひた走る。インドネシア鉄道(PT KAI)が運行する、現在の同線最速列車、特急「アルゴ・ブロモ・アングレック号」の9時間ジャストには及ばないものの、初のオール国産車両が9時間10分で走破するというのはセンセーショナルな事象になるはずであった。
だが、現地メディアの反応は実に冷ややかなものであった。筆者の知るかぎり、この件についてはまったく報道されていない。当然ながら日本がF/S調査に参加していることなど、インドネシア国民は知る由もない。ジャカルタ―スラバヤ間は空路ならわずか1時間半。いくら鉄道を高速化しても5時間かかっては航空機に勝てない。
料金は鉄道のほうが割安だが、高速化されれば値上がりは必至。料金面で航空機に対しての優位性は薄れる。所要時間で勝てないのなら、北本線ではなく沿線人口の多い南本線を改良したほうが、まだ現実性があるかもしれない。北本線はスマランの先、スラバヤまで、これといった都市がないからだ。
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