ソニー、「アイボ」で始まる完全復活への挑戦 平井社長「開発現場に何度も足を運んだ」
背景には、業績の回復がある。アイボ発表の前日にあたる10月31日、ソニーは2018年3月期の中間決算を発表した。その中で、通期の営業益は20年ぶりに過去最高を更新する見込みであることがわかった。
2013年に発売したプレイステーション4の好調が続くゲーム事業のほか、イメージセンサー、金融などが牽引し、中間の営業利益は前年同期比255%増の3618億円となった。下期もこの基調は続く見通しで、通期業績は売上高以下すべてを上方修正した。これを株式市場は好感し、11月1日の株価は一時12%の上昇となった。
「自らを20年間超えられなかった」
ただ、ソニーはこの業績回復をぬか喜びできる段階にはないと認識しているようだ。ソニーは復活したのかとの記者からの質問に対し、決算会見に出席した吉田憲一郎副社長は、「復活というよりは、自らを20年間超えられなかったととらえるべきだ」と厳しい見方を示した。
実際、今期の大幅増益は、前期における映画や電池事業の減損がなくなる効果も大きい。また2017年7~9月だけで見ると、スマートフォンを展開するモバイル・コミュニケーション事業は25億円の営業損失を計上している。そして世界に目を向けると、韓国サムスン電子の時価総額は今やソニーの約7倍と、大きな差が開いたままだ。
【11月2日16:00追記】初出時、時価総額の差を「70倍」としていましたが、「7倍」に訂正しました。
業績の回復で、新事業にチャレンジする余裕はできた。その中で今なお根強いファンの多いアイボを復活させることは、一度輝きを失ってしまったソニーブランド磨き直しへの挑戦にも見える。ソニーの復活ははたして本物か。アイボはそれを占ううえでの試金石になりそうだ。
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