ソニー、「アイボ」で始まる完全復活への挑戦 平井社長「開発現場に何度も足を運んだ」

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さらに、人が呼び掛けなくても、アイボのほうから能動的に働きかけることができる。複数搭載されたセンサーで、画像や音声を認識・解析し、だんだんと飼い主の対応や周辺の環境を学んでいく。人の顔も、20人まで判別することができる。ここには、ディープラーニングの技術を活用した。感情に合わせてコロコロと変わる瞳には、次世代ディスプレーとして注目される有機ELが使われている。

先代アイボの開発に携わった技術者も集結

アイボ復活プロジェクトチームが立ち上がったのは、わずか1年半前のこと。中心となったのは、カメラとスマホの技術者などで、30代の若手が多いという。かつてアイボの開発に携わった技術者も集結した。

アイボを抱える平井一夫社長(右)と、開発にかかわった川西泉・執行役員(撮影:今井康一)

川西氏は「アイボ撤退以降も、社内ではロボットを作りたい技術者がたくさんいた。それが、近年業界としても、社内でも盛り上がってきて、トップマネジメントの意思決定がされた」と開発の経緯を語る。平井社長も、「何度も現場に足を運ん」で見守ってきたという。

確かに現在、AI技術を活用した製品開発は加熱している。2017年には、米グーグルやLINE、アマゾンなどからAIスピーカーが相次いで発売された。ソニーも10月、人を認識し能動的に話しかけることのできるコミュニケーションロボット「Xperia Hello!」を発売したばかりだ。

アイボの場合、犬の鳴き声で応えるだけで人の言葉を話すわけではないが、理解をすることはできる。将来的には、教育、高齢者の見守り、パーソナルアシスタントなどへの活用が想定されており、同じ潮流の中に位置付けることができよう。

ただ、それゆえに1996年から2006年の撤退時までに約15万台売れた先代のアイボと比べると、市場における目新しさは薄れているとも言える。そもそも、構造改革を進めていた12年前、戦略的な成長が見込めないとして一度撤退した事業に、今再参入する意図はどこにあるのか。

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