宇都宮LRTのシンボルカラーが「黄色」のワケ ギョーザより有名な「天の恵み」があった!

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GKデザイングループは富山の市内電車環状線のトータルデザインも手掛けた(筆者撮影)

GKデザイングループはその後、GK設計が富山ライトレールに続いて同じ富山市の市内電車環状線(正式名称は富山地方鉄道富山軌道線富山都心線)も手掛けており、こちらでもトータルデザインを導入している。鉄道におけるトータルデザインを知るには、富山に行くのがよさそうだ。

宇都宮LRTは、上記検討委員会の専門部会として有識者、住民、運行事業者、行政により構成する「LRTデザイン部会」とGK設計により進められていくことになる。しかし現時点でほぼ決まっている部分がある。色だ。

前述の情報発信拠点を含めたプロモーションには、「雷都を未来へ」という言葉とともに、黄色がシンボルカラーとして使われているからだ。

LRTは「雷都」の象徴になるか

雷都という言葉は、LRTのライトレールトランジットに掛けたものであるが、昔から宇都宮ではこの呼び名を使っていた。雷というとネガティブなイメージを持つ方が多いかもしれないが、宇都宮がある栃木県では「雷様(らいさま)」という呼び名があるほど、崇め奉る存在になっている。

雷の光のことを稲妻と呼ぶことがある。「つま」はもともと配偶者を示す言葉であり、昔は稲夫と書いた。雷が夫、稲が妻で、雷が稲と結ばれることで実をつけるという言い伝えからこの言葉が生まれたという。

雷が落ちると稲が育つことは科学的にも実証されている。稲を含めて植物の生育には窒素が重要であるが、植物は空気中の窒素をそのまま取り込むことができない。しかし雷によって窒素と酸素が結び付いて窒素酸化物が作られ、その後の雨でこの窒素酸化物が地中にしみ込むことで、稲の育ちがよくなるのだという。

雷というと多くの人が黄色を連想する。この色をシンボルカラーに選んだのは納得だ。個人的には雷を連想するようなダイナミックなグラフィックで、新鮮な雰囲気を表現してほしいが、それを含めてトータルデザインに長けたデザイン集団の手腕に期待したい。

森口 将之 モビリティジャーナリスト

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もりぐち まさゆき / Masayuki Moriguchi

1962年生まれ。モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。著書に『富山から拡がる交通革命』(交通新聞社新書)。

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