JR7社、日本大縦断「激レア」共同ツアーの中身 発足30年記念企画、走る列車も連携も珍しい

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観光列車コースではこのほか、JR北海道のリゾート列車「ノースレインボーエクスプレス」、お召し列車にも使われるJR東日本の「なごみ(和)」、JR西日本の「エヴァ新幹線」やJR九州の「A列車で行こう」など、各社の特徴ある列車が行程に含まれている。

一方の新幹線コースは、JR東海「リニア・鉄道館」の100系新幹線食堂や、金刀比羅宮(香川県)の白書院など、通常は一般公開していない場所や展示の特別公開が目玉の一つ。「JR20周年の際にはまだ実現していなかった、新幹線による北海道から九州までの旅という点もポイント」(JR東日本広報部)だ。

料金は観光列車コースが1人39万~48万円、新幹線コースが15万円。発売は10月18日に開始する。

各社の連携は薄れている?

JR7社は、発足20周年の際にも7社共同企画として「JRオールキャスト 日本列島縦断 華麗なる列車の旅8日間」と題したツアーを行っている。この際は札幌から鹿児島へ向かうコースと長崎から札幌へ向かうコースの2つが実施され、豪華寝台車として知られた「夢空間・北斗星」と「トワイライトエクスプレス」でそれぞれ1泊しながら日本縦断するという内容だった。今回も「30周年を迎え、7社で共同のイベントを実施しよう」との機運が持ち上がったことからツアーが実現したという。

地域別の分割民営化から30年を経て、各社間のつながりが薄れてきたとも指摘されるJRグループ。発足当初の1988年には、テレビ局の企画としてヨーロッパから大陸を横断して日本にやってきた豪華列車「オリエント急行」の客車が、JR各社の連携によって日本全国を走ったこともあったが、近年はJR各社の境界をまたぐ列車は減少傾向にある。7社連携による企画も「旅行商品に関して言えば、20周年の時以来では」(JR関係者)という。貨物の機関車が牽引する「カシオペア」だけでなく、企画そのものが珍しいわけだ。

近年、新幹線や特急列車などを使って日本を縦断するツアーは旅行会社各社が発売しており、人気を集めている。今回のJRスペシャルツアーは、EH500形電気機関車牽引によるツアー客専用の「カシオペア」や、通常は非公開の展示が公開されるなど特別な点も多いものの、通常の営業運転を行っている列車を利用する部分も多く、その点では一般の鉄道利用ツアーと重なる部分もある。「JR30周年特別企画」「JR7社共同企画」のスペシャル感に魅力を感じるかどうかが人気のポイントとなりそうだ。

小佐野 景寿 東洋経済 記者

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おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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