子供を欲しがる友人に共感できない深刻理由 愛された記憶が無いから愛せる自信がない

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母が死んだ直後、酒を飲まずに帰るようになった父。あらゆる感情を抱きつつ、ようやく普通の家庭になるのかもしれない、と思ったのもつかの間、一ヶ月も経たずに元の生活に戻るように。

待ち受けていた現実

幼い頃から積み重ねてきた、約束を破られるという裏切り。母の死という大きな出来事によって、今度こそは変わるかもしれない…。そんな最後の期待ですら、待ち受けていた現実はやっぱりこれなのです。ろくに焦点のあっていない父に対する、主人公の言葉はなんなのか。

©︎菊池真理子(秋田書店)2017

"「もう飲まないでね」"

怒涛の一話二話から始まり、主人公が成長し、社会人になり、変わらないまま老いていく父との生活を描いた物語。就職・結婚・出産、人生の節目節目でやってくる”問題”に、悩み苦しむ姿がリアルで、似たような境遇だった私は読んでいて本当に苦しかったです。

そしてたどり着いた結末は、ある意味で私にとって、ひとつの答えを目の当たりにしたかのような感情がありました。十人が読めば十通りの感想があるかと思います。私はこの作品を「面白いから」という理由で勧めたいわけじゃありません。このような作品がある、ということを知ってほしい、そして一度他の人に読んでみてほしいから紹介させていただきました。

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