京王「16年ぶり新車」は沿線勢力図を変えるか 来春から座席指定列車、相模原線は値下げ

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クロスシートの状態。来春運転を開始する座席指定列車ではこのようになる(撮影:尾形文繁)

車両そのものもさることながら、やはり沿線利用者の関心が高いのは「座席指定列車がどの駅に停まるか」のようだ。平日・土休日の夜間に新宿発京王八王子行き、橋本行きとして運転されることは決まっているが、停車駅やダイヤなどはまだ公表されていない。

9月17日には、列車の愛称募集に応募した人から抽選で選ばれた約200人を招いて試乗会が行われたが、やはり「停車駅がどうなるか」に関心を抱いている参加者は多かった。

新宿から約20kmの府中駅から都心に通っているという40代の女性は「疲れた時や飲んで帰る時、旅行から帰ってきて荷物がある時などにぜひ使いたい。でも、府中だと距離的に中途半端だから停まらないかも。すごく気になりますね」。高幡不動駅(新宿から約30km)が最寄り駅という30代の女性は「帰りだけでも必ず座れる列車ができるのはありがたい。(特急の停まる)高幡不動なら停まるのでは……?」。

試乗会の車内では、高音質のステレオ放送が自慢という車内スピーカーを活かしてゲストのトークが繰り広げられたが、ここでも「それぞれの予想する停車駅」が一つのテーマとなっていた。

「最初の停車駅まで指定席」を検討

京王によると、停車駅やダイヤ、列車の愛称などは2018年の年明け以降に発表する予定。同社鉄道事業本部計画管理部の山木正一・企画担当課長によると、座席指定の方式については「新宿から最初の停車駅までを座席指定料金の対象区間とし、その先は指定料金なし(座席指定なし)で乗り降りできるという方向で検討している」という。

今のところ座席指定列車の運転は夜間の下り列車のみの予定だが、京王沿線の代表的な観光地である高尾山方面や、多摩動物公園への運行を期待する声も寄せられているという。この点について山木さんは「まずは夜間の下り列車としての運行が重要」と強調しつつ、「(座席指定列車の)稼働率などが順調に推移すれば、将来的な状況次第ではあるが、高尾山口行きなどの展開もありうるのでは」と話す。

ロングシートの状態(撮影:尾形文繁)

自動でロングシートとクロスシートの切り替えができる5000系だが、実は向かい合わせのボックスシートにすることもできる。具体的な計画はないというものの、行楽列車として走る可能性が将来的にもまったくゼロというわけではなさそうだ。

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