「世界の貧困と戦争を根絶することは可能か 」ジェフリー・サックス・コロンビア大学地球研究所所長
ダルフール問題解決のための処方箋
外部から支援を受けたダルフールは、家畜の品種改良や治療の確保、飼料の調達などを通して家畜の生産性を高めることができるだろう。畜肉産業を発展させることで、ダルフールの遊牧民は家畜や肉、加工食品(皮革など)、酪農製品などを販売して所得を何倍にも増やすことができるだろう。中近東は近隣にある有望な輸出市場である。
輸出市場を構築するためにダルフールは輸送網、保蔵倉庫、携帯電話網、電力、家畜の医療施設、テクニカルなアドバイスといった支援を必要とするだろう。医療や教育、識字率の改善などの社会サービスも促進しなければならない。マラリア撲滅や学校給食、雨水の飲料水への利用、移動クリニック、灌漑への投資を行えば、生活水準を大幅に改善することができるだろう。携帯電話網は、ダルフールの広大な地域に分散して暮らす人々に通信革命をもたらすだろう。
持続的な平和を達成する唯一の方法は、持続的な経済発展を実現することだ。戦争のリスクを減らしたいのであれば、ダルフールだけでなく世界中の貧しい人々が基礎的な欲求を満たし、自然環境を守り、経済発展の階段を上っていくのを支援すべきである。
(C)Project Syndicate
ジェフリー・サックス
1954年生まれ。80年ハーバード大学博士号取得後、83年に同大学経済学部教授に就任。現在はコロンビア大学地球研究所所長。国際開発の第一人者であり、途上国政府や国際機関のアドバイザーを務める。『貧困の終焉』など著書多数。
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