ゆうパックも値上げ、変わる荷主との力関係 荷主は対応に必死、影響軽減へあの手この手

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中でも大きな影響が出ているのが重量物の配送だ。あるミネラルウォーターの販売会社は、ヤマト運輸や佐川急便に委託してきた。定期購入者向けには一部地域を除き送料無料としてきたが、2社からは数割の値上げを予告されている。

「ボトルは重く、再配達で負担をかけていたのも事実」と担当者は語るが、配送コストはサービス料金の2〜3割を占めるだけに、窮地に立たされた格好だ。

宅配クリーニング「リネット」を展開するホワイトプラスも配送コスト削減を迫られている。2400円(税抜き)以上注文すれば往復送料は無料だが、ヤマト運輸からの値上げ要請を受け、最低金額の引き上げを検討中だ。「集荷と配送のダブルでコストが上がるため、頭が痛い」(森谷光雄取締役)。

同社はさまざまな物流企業に継続して相談している。顧客のニーズが高い宅配ボックスへの集配や21〜24時の夜間配達の委託を検討中だ。再配達をほぼなくせるのであれば、顧客と同社の双方にとってメリットが大きい。

こうした中、ITを活用し、従来と異なるモデルで急成長する物流企業がある。

好調の物流ベンチャー

ベンチャー企業のCBクラウドは荷主と軽貨物ドライバーのマッチングで先駆的な存在だ。昨年12月から宅配受託を始め、ネット通販を中心に引き合いが急増している。配送ルートの自動作成や電子サインによる受け取りを採用、配送効率の向上とコスト削減を両立しているのが特長だ。

ドライバーの待遇改善も進めている。配達が完了して初めて料金を受け取るのではなく、再配送があっても時間当たりの料金を受け取る仕組みだ。現在の登録ドライバーは1800人。毎月200人ほど増えており、今後1年で5倍程度に拡大すると見込む需要に対応する考えだ。

配送をめぐっては、従来大口割引の恩恵を受けていたネット通販などの荷主と配送業者の力関係も変わりつつある。配送が維持できなくなれば、ビジネスモデルが崩壊しかねない。正念場を迎えているのは配送業者だけではないのだ。

木皮 透庸 東洋経済 記者

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きがわ ゆきのぶ / Yukinobu Kigawa

1980年茨城県生まれ。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。NHKなどを経て、2014年東洋経済新報社に入社。自動車業界や物流業界の担当を経て、2022年から東洋経済編集部でニュースの取材や特集の編集を担当。2024年7月から週刊東洋経済副編集長。

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