民進党・前原新代表は、のっけからつまずいた 「山尾幹事長」の撤回で求心力さらに低下
8月下旬に実施された民進党代表選に関するメディアの報道は「これまでになく地味」(党幹部)だった。予想通りの「前原・枝野対決」で意外性も新味もなかったからだ。代表選後の前原新体制の人事も、その延長線上で淡々とした報道が続いた。このため、幹事長人事の混乱が大きく扱われたのは「皮肉な結果」(同)でもある。予定調和的に進んできた人事の土壇場での迷走が取材現場を混乱させたことで、背景説明などの解説記事には担当記者の苛立ちもにじんだ。自民党幹部も「わざわざメディアを敵に回すなんて…」と苦笑している。
改めて9月1日の代表選の結果をみると、今回の騒動の遠因も見えてくる。代表選は国会議員、公認候補者、地方議員、党員・サポーターのそれぞれの投票をポイント制で集計する方式だったが、合計ポイントでは前原氏502、枝野氏332と一定の差がついたものの、国会議員票の83対51は「枝野氏の予想外の善戦」(党幹部)とされた。党内議員グループの8割以上を抑えたはずの前原氏の票が伸びなかった背景には「勝ちを意識した前原氏が路線論争などでリベラル派に歩み寄ったことが、保守系議員の不満と反発につながった」(同)との分析もある。
8人もの国会議員が無効票を投じたのもその延長線上とみられており、だからこそ、前原氏は当選挨拶の冒頭で「非常に難しい船出」と語ったのだ。ただ、「党結束」のための「離党予備軍」の説得の重要さを認識していれば、「山尾幹事長」という発想は浮かぶはずがなかったともいえる。新党さきがけ時代から前原氏と親交のある自民元議員は「そもそも、人事の何たるかを理解していなかったのでは」と首を傾げる。
「解党して野党再編」に活路を求めるしかないのでは
民主党時代の2005年から43歳の若さで代表を務めた前原氏にとって、今回は満を持しての再登板だったはずだ。対立候補だった枝野幸男氏とともに「民主党政権崩壊の戦犯」との党内外の批判には「失敗したからこそ、これからその経験が生きる。初めての人ではまた同じ失敗を繰り返す」と反論してみせた。
しかし、政治路線問題を核とする根深い党内対立のあおりともみえる目玉人事の撤回で「政党としての根源的な矛盾がリーダーの手足を縛る」(党幹部)という民進党の実態が露呈した。党長老は「もはや党の体質は変えようがない。このままじり貧になるより、解党して野党再編に活路を見出すしかない」と指摘するが、野党再編論を主張してきた前原氏が今後、代表としての求心力を取り戻して「乾坤一擲の大勝負」(側近)に出るチャンスが到来するのかどうか。
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