鉄道各社は「ミサイル発射」にどう対応したか 東北新幹線などストップ、走り続けた路線も

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逆に、対象地域内でも列車を停めなかった鉄道会社もある。JR東海は、中央西線と飯田線が対象地域となった長野県内を通っているが、今回のミサイル発射では運転見合わせはしなかった。

同社は「エムネットやJアラートで『ミサイル発射情報・避難の呼びかけ』があり、当社エリア内に飛来するおそれがあると判断した場合、列車を停止させる」という方針だが、今回に関しては「情報を複合的に勘案し、当社エリア内に飛来するおそれはないと判断したため」だ。

国交省鉄道局危機管理室によると、ミサイル発射時の鉄道各社の対応については「特にいわゆる文書的なものはない」といい、国による指針などが定められているわけではない。だが、4月末のミサイル発射時に東京メトロが報道に基づいて運転を見合わせた件などを受け、「情報源がまちまちだと混乱を招きかねない」として、国によるJアラートやエムネットの情報に基づいて対応するよう働きかけは行っているという。

支障の可能性は低くても…

ミサイルが日本列島を飛び越えるような事態は起こらないのが一番だが、北朝鮮をめぐる情勢を考えれば、今後も同様のケースが起こる可能性は考えられる。

通過地点から離れていたエリアでは「なにもここまで列車を停めなくても」といった声もあるものの、乗客の命を預かる鉄道会社としては、Jアラートが鳴れば万が一を考えて対応せざるを得ないのが実情だろう。今回の対象地域外だったある鉄道会社の社員は「列車の運行停止は影響が大きい。実際にミサイルが通過したエリアを考えると(関東などは)支障がある確率は極めて低いが、万全を期すという考え方もあり難しいところ」と話す。

今回のミサイル発射では、特に地方で「地下に避難しろといわれても逃げる場所がない」といった問題も指摘された。過剰に恐れることなく、高空を飛び越える脅威にどう対応するか。日常生活を支える鉄道にも大きく影響する課題だ。

小佐野 景寿 東洋経済 記者

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おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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