最強の官僚体制が芽を摘む地方経済の活性化 中央集権型では人口増や規制緩和は望めない

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(3)対処療法、改善策ばかりが独り歩きする

中央省庁の官僚が活性化事業の主導権を握っている現状では、抜本的な発想とかその事業を終了させるということができなくなっている。斬新なプランを地元が提案しても「過去に前例がない」「今ある体制を改善する」といった言い訳から、結局のところは対処療法だけに終始してしまう。

(4)政治家への賄賂や官僚の天下りなど腐敗の温床になりやすい

森友学園や加計学園の問題でもわかるように、不透明なカネの流れが多く、国民に納得のいくシステムになっていない。地方自治体に権限移譲してしまえば、少なくとも国政レベルでの不正はカットできる。

規制緩和ができる余地はまだ数多くある

いずれにしても、現在の行政は、官僚が大臣のコメントまで含めて、何もかもお膳立てして動かしているのが現実だ。安倍政権以前は、せめて国会審議では官僚の文章を棒読みするようなことをやめようという暗黙の了解があったのだが、いまや堂々と行われるようになってしまった。

言い換えれば、長い歴史の中で現在の官僚体制は最強で盤石の体制ができていた、と言っていいだろう。この背景には民主党による政権交代もあるのだが、政権交代によってさまざまな既得権にメスを入れられ始めて、危機感を覚えた中央省庁の官僚たちは、自民党にすり寄ることで政治家をコントロールする方法に磨きをかけたと言っていい。

この最強の官僚機構に目をつけたのが安倍政権であり、内閣府が官僚の最大の弱点である「人事権」を握ってコントロールし始めた。

ここまではよかったのだが、せっかくの官僚機構のコントロールを「お友達の利益」あるいは「私利私欲」のために使い始めてしまい、それが国民に露呈して支持率が大きく下落してしまったと見るのが正解だろう。

そもそも日本には、政治家や官僚が握っている利権を手放して自由化する「規制緩和」が、まだまだ山のようにある。たとえば、都心部の再開発がなかなか進んでいないが、一定規模の再開発プロジェクトには「容積率」を大幅に緩和するなど、できることはいくらでもある。容積率の緩和は、たとえば山手線の内側を現在の2倍にするだけで、空前の建築ブームが起こるといわれている。

韓国が経済危機に陥った時に、IMFに命じられた規制緩和のひとつも容積率の緩和だった。日本も、それぐらい思い切った経済政策を実行すれば、脱デフレや低成長からの脱却も可能になるかもしれない。

もっとも最近では、日本政府の既得権を守る力が、新しいITなどの技術革新に追い付いていない部分が多い。世界が技術革新に合わせて政府の規制も大きく緩和している中で、日本政府の対応は後手に回っている。

スマホなどのアプリを使ってタクシーを手配する「Uber」などのライドシェア運営事業をはじめとして、中国発のレンタルサイクル事業など、急速に既存の利権や概念を崩壊させるような事態が日々起こっている。

たとえば、宿泊施設をアプリで紹介する新規参入を阻止するために、民泊事業を正式に認可した。これまであった利権が技術革新によってその構造を変化させているわけだ。ただ、やはり全体として言えるのは、日本政府はいまだに数多くの利権を握りすぎているということだ。

岩崎 博充 経済ジャーナリスト

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いわさき ひろみつ / Hiromitsu Iwasaki

雑誌編集者等を経て1982年に独立し、経済、金融などのジャンルに特化したフリーのライター集団「ライトルーム」を設立。雑誌、新聞、単行本などで執筆活動を行うほか、テレビ、ラジオ等のコメンテーターとしても活動している。『老後破綻 改訂版』(廣済堂出版)、『日本人が知らなかったリスクマネー入門』(翔泳社)、『「老後」プアから身をかわす 50歳でも間に合う女の老後サバイバルマネープラン! 』(主婦の友インフォス情報社)など著書多数。
 

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