謝るときには、当然、正しい敬語を使うことが求められるが、言葉遣いに関しては、ほとんどの人が正しく使えているとはいう。「むしろ、多くの若手社員に見られる問題は『態度』です」と語るのは、『どんなクレームも絶対解決できる!』著者の津田卓也氏だ。
普通、謝罪をするときは、申し訳なさそうな表情をして、感情のこもった声で伝えるものだ。ところが、能面のような「無表情」で、棒読みで謝罪する若手社員は珍しくないという。
当然、それでは相手に「慇懃無礼だ。本当に謝る気があるのか」と思われ、火に油を注ぐ。しかし、当の本人は、まったく悪気がないことが多いそうだ。
「普段、ネットでのコミュニケーションが中心だからか、表情や声色の重要性をあまり認識していないようです。しかし、極端な話、謝罪するときは、言葉遣いよりも、表情や声色などで謝罪の思いを表すほうがよほど重要です」(津田氏)
「言いたいことは全部言わせる」がコツ
お客様からのクレームは、理不尽なことも少なくない。無茶苦茶なことを言われれば、理詰めで反論したくもなるだろう。また、会社のルールで応じられないケースでは、「会社のルールで決まっているから無理です」で押し通そうとしがちだ。
しかし、早く終わらせたいからといって、話が終わらないうちに説得しようとすると、お客様は反発し、事態はこじれてしまう。
クレーム対応では「お客様の言い分をしっかり聞き切る」ことも大切だという。そうすることで、お客様も「自分の言い分をしっかり聞いてくれている」と感じる。言いたいことがすべて言えれば、スッキリして、怒りが収まることも期待できる。
また、しっかり聞いていけば、お客様がなぜ怒っているのか、真の原因を突き止められ、適切な解決策が打ち出せる。実はこちらに非がなく、お客様が勘違いしていることなども見えてくる。「クレーム対応は情報戦。いかに相手から多くの情報を引き出すかがカギだと心得ましょう」(津田氏)
「相手の話を聞くこと」の重要性はすでに述べたが、「聞くことに関しても、謝るときと同じ問題がある」と津田氏は言う。話を聞こうとはするが、相手の話に対して「無表情」「うなずかない」「相づちを打たず、無言」という若手社員は、意外なほど多いという。
「相手の話に反応しなければ、真剣に聞いていないとみなされ、さらに怒らせてしまうこと必至です。こちらも、悪気なくやっている人は多いので、気をつけてください」(津田氏)
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