「北朝鮮リスクで下落」の日本株は「買い」か これからの相場で外国人投資家はどう動く?

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チャートの見方の一つに「押しはマドまで」がある。どういうことか。マドとは、上げ相場の場合、日足の前日の高値と翌日の安値の間が開くこと(下げパターンのチャートでは表現は逆になる)。マドを開けることは大きなエネルギーが働いたことを意味し、重要なポイントと評価される。

この「押しはマドまで」の意味は、強い相場では、たとえ一時的に下がったとしても、この重要ポイントまで下がらずに反発するが、そこを通過して下がってしまうと「弱い相場に変わった」と評価される。今回の先物の水準は、すでにマドを埋めてしまった(通過した)というわけだ。為替も(北朝鮮リスクで地政学的に円が買われるとはおかしなことだが)ドル安円高に振れている。

「買い下がり」と行きたいが、外国人の動向に注意

しかし、直近の日経平均予想EPS(1株利益)は、順調な企業業績に支えられ1413.31円と過去最高水準になっている。これを基準にすると、仮に先物の価格に近い1万9300円で計算すると、すでにPER(株価収益率=株価÷1株益)は13.65倍に低下している。筆者だったら「ここは下値拾いの好機」と見て、注目株を買い下がる。

ただし、外国人投資家の8月動向には要注意だ。一昨年の2015年8月は、チャイナショックで「大量売り」となったことは、いまだ記憶に新しいが、昨年の8月についても、外国人投資家はブレグジット(英国のEU離脱)で「6月売り」の後「7月買い越し」で消化したにもかかわらず、8月、9月については約2兆円も売り越している。

これはファンド運用の事情によると筆者は考える。世界のファンドの多くは11月決算だ。8月、9月はファンドの収益をまとめ上げる時期にあたる。予想収益に達していない時は、ここからの仕掛けもあるが、十分な収益を達成している時は、ここから「利確」だけをして、後は無理せず「流す」作戦を取ることも多い。

2016年がその典型だった。年初から8月までNYダウで約3000ドルも上げ、「カネ持ちケンカせず」の状態だった。今年も年初から約2000ドル上げており、昨年に似ている。北朝鮮リスクという利確理由もある。

にもかかわらず、筆者が買い下がりを唱えるのは、東京のダイナミックなパワーを感じるからだ。東京のいたるところで工事が始まっている。2020年の東京五輪に対応するだけでなく、10年後20年後を見据えた再開発だ。

例えば、東京の八重洲再開発では八重洲地区内の小学校の移転先建物も完成した。また兜町再開発では住民説明会も開かれた。日本橋再開発も動き出した。これは世界が引き締めに動く中で、TOPIX(東証株価指数)先物、日経225先物がスタートし、NTT株第3次放出がなされ、日本だけ逆行して緩和に動いた1988年にも似ている。この時、日経平均は2万8000円前後だった。翌1989年に一気に約1万円高となる。現在の大成建設、鹿島のチャートが物語るものに期待したい。

今週の日経平均予想レンジは1万9000円―1万9600円としたい。

平野 憲一 ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト

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ひらの けんいち

日本証券アナリスト協会検定会員。株一筋約45年。歴史を今に生かすことのできる「貴重なストラテジスト」として、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌への出演や寄稿記事多数。的確な予想で知られ、個人投資家の間には熱烈な「平野ファン」がいることでも有名。1970年に立花証券入社以来、個人営業、法人営業、株ディーラーを経て、2000年情報企画部長マーケットアナリストとして、投資家や各メディアに対してマーケット情報発信をスタート。2006年執行役員、2012年顧問就任。2014年に個人事務所ケイ・アセット代表。独立後も、丁寧でわかりやすい解説を目指す。

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