デジカメ時代に好調「チェキ」が挑む新機軸 カワイイだけじゃない、狙うは“大人の男"

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ネオクラシックを投入した狙いは、これまでのチェキが手薄だった本格志向の強い男性顧客の開拓だ。富士フイルムのカメラのイメージキャラクターを務め、男性中心に人気の高い佐々木希さんがここでも登場。コンセプトにあわせて、1950年代のアメリカを彩ったジャズ文化を現代風にアレンジした映像・音楽を採用したプロモーションムービーも公開。本格志向の男性への訴求に力をいれている。

これまでのチェキは、「世界で一番カワイイカメラ」をコンセプトに、カラフルなデザインや原宿系モデルをパッケージに起用するなど、売れ行きの中心である若い女性をターゲットにした販売戦略に特化していた。

実際、チェキは国内でも売れ行きは好調だ。家電量販店ビックカメラにおける、今年5~7月のチェキの販売数量は前年同期比で2倍以上。「客層は10~20代の若い女性が中心。フィルムカメラを使ったことがない世代に、インスタントフィルムカメラが新鮮に映っている。プリクラと同じ感覚で使用できることも魅力のようだ。海外観光客の方が買っていくケースも目にする」(広報IR部松本昌也主任)という。

販売の底上げをもくろむ

一方で、若い女性だけを主要な顧客に据えていては、需要開拓にも限りがある。富士フイルムとしては、本格派志向の“大人の男性”にターゲットを据えることで、チェキシリーズの底上げにつなげたい考えだ。実際、富士フイルムは今期計画している販売200万台のうち、15%程度の30万台をネオクラシックで占めると見込んでいる。

ただ、チェキのコンセプトは若い女性だからこそ、受け入れられてきた面はある。たとえば、日本のアミューズメント施設を見ても、「プリクラ」の通称で知られる、その場で写真のシールプリントができる「プリント倶楽部」に群がっているのは若い女性。本格派志向とはいえ、男性客がどこまでネオクラシックに関心を示すかは未知数のところも少なくない。これまでに培ったブランドイメージや技術を生かしつつ、魅力を訴えられるか。デジカメ全盛時代で、唯一残っているといってもいいインスタントカメラの新しい挑戦が始まる。

島 大輔 『会社四季報プロ500』編集長

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しま だいすけ / Daisuke Shima

慶応義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程修了。総合電機メーカー、生活実用系出版社に勤務後、2006年に東洋経済新報社に入社。書籍編集部、『週刊東洋経済』編集部、会社四季報オンライン編集部を経て2017年10月から『会社四季報』編集部に所属。2021年4月より『会社四季報プロ500』編集長。

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