新ホテル続々進出、「泊まれる銀座」へ大変貌 2020年に向け、銀座がホテル開発の最前線に

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――弊社の東洋経済オンラインでもデービット・アトキンソン氏の記事が話題になった。富裕層の考える「いいホテル」とはどういったものか。

否定論でいえば、「いやな思いをしない」ということ。ホテルを選ぶ際にブランドが重要なのは、英語のメニュー、24時間サービスもあるといったことをブランドとして保証している点だ。

伊達美和子(だて みわこ)/1971年生まれ。1996年慶應義塾大学大学院修了。長銀総合研究所を経て1998年森トラスト入社。2016年6月から森トラスト社長(編集部撮影)

人間は単独では生きていけない。訪れたことのない海外リゾートに行こうと思った時に、知っているブランドがあれば自分で予約できる。わからないと、誰かの評価がほしいから、大手の口コミサイトや代理店、会員プログラム、有名ブランドが活用される。

世界ではラグジュアリー(高級)、アッパー(上級)、ミドル(中級)といった基準が存在する。日本はあまり意識してこなかったからランクがなかった。そうすると東京ではこういうクラスのホテルに泊まるけれど、地方には該当するランクのホテルがなくて行けないということになる。

京都がまさにそう。「ザ・リッツ・カールトン京都」、「翠嵐 ラグジュアリーコレクションホテル 京都」、「フォーシーズンホテル京都」ができて、「桜が咲いたし、京都にはいいホテルがあるから明日、プライベートジェットで行ってみようか」となる。ただ、残念ながらそうした空港の枠はないが。

今、この瞬間に開発するのは難しい

――今後も、都内で積極的に新規開発を行う方針か。

こうした議論は為替や株式と同じで、川下から見るのか、川上から見るのかで大きく違う。

不動産開発の場合、更地から仕込んで開発するには、土地代と建築費が同時に上昇しているうえ、(着工から竣工まで)時間がかかり好ましくない。今の瞬間、都内で土地を買って、開発するというのは不可能ではないか。銀座もずいぶん高かったが、今より一歩前だから可能だった。

一方で不動産投資として見た場合、収益がまわっているものを買って持つことはメリットになる。稼働しているものは商品だ。ポートフォリオとしてどういうものを買うべきか、また金利や資金調達力、収入の見合いでどの程度までレバレッジを効かせるか。開発と投資の案件は立場で全然違う。

ゼロから(ホテルや複合施設を)作っていく話はすでにいっぱいある。沖縄で開発中のリゾートホテルを買収したように、自分たちの基準に見合ったもの、将来的に「いいなと」思えるものが出てきたら、買いたいと思っている。

※「ライフスタイルホテル」にはさまざまな定義がある。本記事では『ホテル・ビジネス・ブック 第2版』仲谷秀一ほか著(中央経済社、2016年)の「デザイン・ホテル」に関する記述を参考にした。
松浦 大 東洋経済 記者

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まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

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