無印、銀座の新旗艦店とホテルに秘めた野望 ファンの聖地「有楽町店」は18年に契約満了も

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良品計画によれば、現時点では2018年以降の契約の交渉中だという。同じく入居していた有楽町ロフトは2017年6月に閉店。近隣の銀座ベルビア館に移転増床し、6月23日にオープンしている。

良品計画側は今後も不透明な状況が続くことを勘案し、近隣の銀座で大型店を出店する方針を決めたようだ。

「有楽町は世界の無印良品のファンにとって聖地。それだけの認知度がある。ハイエンドブランドが出店する銀座に、われわれ世界観を体現できるお店を作ることがベストだと考えて、出店を決めた」(松﨑社長)

ホテルに参入するのは良品計画だけではない

ホテルの室数や価格帯の詳細は今後詰めていく方針、開業の数ヶ月前から宿泊予約を受け付けると会見で話す松﨑曉(さとる)社長(記者撮影)

今回の出店が特徴的なのは、大型の旗艦店というだけでなく、同社にとって国内初のホテルを開業するという点にある。

良品計画がホテルのコンセプトや内装デザインを監修。部屋には無印良品で展開している家具やアメニティグッズをそろえ、ブランドの世界観を表現する。

同社はホテル運営のノウハウがないため、小田急電鉄グループのUDSが行う。

コンセプトは「“アンチ・ゴージャス”と“アンチ・チープ”。五つ星ホテルのような価格帯ではなく、ちょうどよい価格帯での展開を予定する」(松﨑社長)。

アパレルやライフスタイルブランドがホテルを運営するのは他社でも事例がある。LVMH傘下のブルガリは2004年から「ブルガリ ホテル ミラノ」を展開、ほかにもアルマーニやベルサーチがブランド名を冠したホテルを開業している。

日本でもストライプインターナショナルが2017年度中に「KOE」(コエ)ブランドで、渋谷パルコの跡地に出店する店舗の一部でホテルを計画中だ。

有楽町店には日本国内だけでなく世界中から購入客が訪れる。(2017年4月、記者撮影)

いずれも店舗や商品だけにとどまらず、ライフスタイルブランドとしての認知を高めるのが狙いだ

良品計画は1991年に英国に進出。今年5月末時点で海外は中国を中心に408店を展開し、今2018年2月期末には日本より、海外の店舗数が多くなる見通しだ。

同社の海外進出に伴い知名度も急上昇中だ。世界最大手のブランディング会社インターブランド社日本法人によれば、無印良品のブランド価値は5年連続で25%超増加。「日本のグローバルブランド 2017」では初めてランクインし、19位に食い込んだ。

インターブランド日本法人の並木将仁CEOは「店舗に来るお客の滞在時間は長くても1時間程度だとすれば、ホテルに宿泊するお客は半日程度、MUJIのブランドに接することになる。顧客のブランドへの接触時間を増やすことは、ブランド価値の向上に貢献する」と分析する。

生活雑貨やアパレルとして無印良品は日本で受け入れられてきた。ホテル分野でも受け入れられることができるのか。

菊地 悠人 東洋経済 記者

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きくち ゆうと / Yuto Kikuchi

早稲田大学卒業後、東洋経済新報社に入社。流通・小売業界の担当記者を経て2017年10月から東洋経済オンライン編集部。2020年7月よりIT・ゲーム業界の担当記者に。

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