インサイダー取引「海外居住者」でもアウト! 課徴金は過去最大額に迫る1857万円だった
修正理由についてサン電子は、北米でセレブライトの新製品・新サービスの投入が遅れるほか、アジア・欧州でもセレブライトの販売・サポート体制の構築が遅れ、受注獲得が思うように進まないからだとした。
サン電子が下方修正をリリースしたのは2015年10月7日午後6時半のこと。翌8日の株価は値幅制限いっぱいの985円となりストップ安。翌々日の始値は850円だった。
サン電子とコンサルタント契約を結んでいることから、この男性は会社関係者とみなされるので、下方修正の重要事実を知ってから公表されるまでは日本の法律上(=金融商品取引法)、株式を売買できない。
公表翌日は売買可能だったが、ストップ安となったため思うように売買できない。そこで翌々日の始値850円を参考に損失回避額を計算してみると、850円と平均売買単価1232円の差額382円に、売却した株数3.4万株をかけた約1298万円がインサイダー取引によって回避した損失額ということになる。
回避損失額を大きく上回る課徴金
一方、課徴金の算出にあたっては、公表後2週間以内で最も低い株価が物差しになる。2015年10月8日から21日までの間の最安値は686円だから、実際の平均売買単価1232円との差額546円に、売却した株数3.4万株を乗じた今回の課徴金額、1857万円が弾き出される。
つまり、この男性は1298万円の損失を違法な手段で回避しようとした結果、損失を上回る1857万円の課徴金を納付させられることになったのだ。
男性はきっと「バレない」と思っていたはずだ。取引にはイスラエル、英国、香港、日本の5銀行、4証券会社が絡んでいたことから「実態解明は難しいだろう」と考えていたのかもしれない。
監視委員会は「イスラエル証券庁や英国金融行政規制機構の協力を得た。クロスボーダー取引も海外当局と的確に連携しながら厳正に対処していくという姿勢を国内外に示せた」と本件の意義を強調する。ただ、本件が示したように、海外居住者によるインサイダー取引は実質野放しというのが実態なのだろう。まだ緒に就いたばかりともいえる海外居住者への課徴金納付命令。決して本件で打ち止めということにはならないようにしてもらいたいものだ。
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