キャプテン翼が「Jリーグ」の危機を救った日 村井チェアマンが語る、Jリーグの今後(上)
――さらに多くのユーザーに中継を見てもらい、会場まで足を運んでもらうにはどのような仕掛けが必要なのか?
たとえば、スマホはすき間時間で視聴するので、平均視聴時間が月間4時間だとする。テレビで見ている人はそれよりも長い。1人当たりの視聴時間を延ばすためには、スマートテレビや、テレビに挿して視聴するスティック型端末をもっと普及させていくことが近道だとわかる。
中継では、各クラブと協力してインタビューも強化した。まずはチームのバスが会場に着いたときに監督がコメントする。J1は試合直前にロッカールームに入って選手の様子を映す。ハーフタイムにも監督コメントがある。試合後も勝者だけでなく敗者チームもコメントがある。これを決まり事にした。メディア対応などもトレーニングできると思う。
また、ローカルテレビ局の試合中継が昨季よりも増えた。制作をJリーグが担当するため、以前より低いコストで番組を放送できるようになったからだ。
リアルにおいては、キックオフ時間を柔軟に設定している。ネット配信は放送と違い枠に制限がないので、地域のイベントなどを考慮して、集客が見込める時間にキックオフしやすくなった。実際、今季のJ1の観客数は、前期と比べて10%以上増えている。
やはり、サッカーそのものが非常に魅力的であり、次から次へと新しいスター選手が生まれる構造を作ること。さらにスタジアムが街の中にあって屋根付きでサッカー専用とか、球技専用とか快適であること。また、ネットやSNSを使ってJリーグの露出を増やし、サッカーがより身近なスポーツになっていくことが大切だ。
クラブが積極的にダイジェスト動画を投稿
――Jリーグが著作権を持ったことで、ネットにも映像を積極的に出していく考えだ。どのように露出していくのか?
Jリーグは公式ホームページやSNSで見られる動画を大幅に増やしている。一方で、クラブ側も動画を簡単に配信することができるようになった。今季はオフィシャルSNSへの投稿も劇的に増えている。これは簡単に動画を配信できるシステムをJリーグがクラブ側に提供しているからだ。
僕も、Jリーグのホームページとツイッター、フェイスブックの数値を見比べるのが日課になった。
ユーザーが月に何回来たかという数値、どのコンテンツを配信したときに閲覧数が増えたのか、というところを細かくチェックする。閲覧数は昨年比で1.5倍から1.7倍になっている。こうした指標が伸びることで、最終的に観客動員数が増えていくと思っている。
今後はトーク番組みたいなものを作れるといい。プレーの裏側にある物語や、それぞれのホームタウンのサポーターの思いなど、さまざまなストーリーをもっと伝えたい。専用スタジオなんかを作って、そこで選手や監督などが話したことがそのまま配信されるようになったら面白い。
※インタビュー後編に続きます。
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