新幹線vs.航空「30年戦争」の勝者はどちらか 国鉄民営化でサービス競争が激化した
また長年、羽田線を飛ばしていた経験が今でも生きているのが空港アクセス。フライトに合わせて小松空港は金沢駅・福井駅に、富山空港は富山駅などへのバスが運行しているが、利用者を長く待たせることなくスムーズに移動できる。さらに両空港とも高速道路のインターに近く(小松空港、富山空港ともに10分以内)、駐車場も小松空港では普通車1日最大500円、富山空港では無料で駐車できるため、飛行機のほうが便利という声もよく聞かれる。
富山県では県庁職員の東京出張は飛行機を積極的に利用させ、東京へ飛行機出張をする地元企業に対して空港ラウンジの無料利用の特典を設けるなど、現行便数を維持するために努力をしている。
九州新幹線が変えた九州内の移動スタイル
また、出張者を中心に聞かれるのが、新幹線は長野から糸魚川までの区間をはじめ携帯電話がつながらない区間が多く、通信が安定しないため車内で仕事ができないという声だ。
他方、JALは羽田―小松線の全便で機内Wi-Fiサービスを完備し、今年2、8月は無料で利用できるキャンペーンを実施する。中途半端につながったりつながらなかったりするくらいなら、電波が入らない機内でゆっくり眠りたいというビジネスパーソンも多い。
北海道新幹線開業の影響がほぼなかったのが羽田―函館線。東京駅から新函館北斗駅まで最速列車でも4時間2分かかるため、「4時間の壁」の言葉どおり、羽田―函館線の航空路線の利用者に大きな変化がなかった。新函館北斗駅から函館駅までは在来線の快速「はこだてライナー」でさらに15分以上要することから、飛行機からの利用シフトは限定的であった。北海道新幹線開業はむしろ新規の旅行需要を創出することになった。メディアなどが函館を取り上げることが増え、訪れる観光客数が伸びたためだ。
その一部は飛行機を使っている。往路は北海道新幹線で青函トンネルを使って函館入りし、復路は函館空港もしくは周遊して新千歳空港から羽田へ戻るといったルートで旅行している人も多い。羽田―函館線はANAが5往復(エア・ドゥ運航の共同運航便を含む)、JALが3往復を運航し、さらに2月からはLCC(格安航空会社)のバニラエアが成田―函館線を就航させた。やはり「4時間の壁」という言葉は今も健在である。
東日本大震災の翌日となる11年3月12日に、九州新幹線が全線開業した。かつては特急列車で4時間弱かかっていた博多駅と鹿児島中央駅が最速1時間17分で結ばれた。空路の福岡―鹿児島線は1日最大13往復の時代もあったが、新幹線開業によって大きく減便されて現在では1日1往復のみ。鹿児島空港から奄美大島や屋久島など県内離島路線への乗り継ぎがメインとなっている。それ以外にも影響が出たのが大阪―熊本線。新幹線開業で新大阪駅から熊本駅までを最速3時間1分で結ぶことになり、航空客の一定数が新幹線にシフトし、利用者が減少することになった。
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