「発達障害」の栗原類を潰さなかった"母の力" なぜ彼は社会で活躍できるようになったのか

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栄養バランスは二の次でいいのです。おなかが空いたら自分でどうするか考える、決めるというのが大事なのです。「面倒だから食べない」だけはやめてくれと言ってあります。コンビニで買ってくるでも、近所に食べに行くでも、友達を誘ってごはんを一緒に食べるでも、とにかく自分でなんとかできるようになったのは大きな進歩だと思います。以前は「毎食外食になるのは嫌だ。だけど、全部自分で作るのも無理だ」という状態で、家に帰ればごはんが作ってあるという習慣性から離れる発想が、なかなか持てなかったのです。

猫の水と食事、トイレの掃除も普段は気がついたほうがやっていますが、私がいない間は毎日きちんと世話をしています。食器洗いに関しては、わが家では食器洗い乾燥機を使っているので、洗っていない食器が山積みになることはほぼないのですが、今でもたまに食洗機へ食器を入れる際の手順や、どの段にどのタイプの食器を入れるかなどがわからなくなるようです。そんなときは、iPhoneのFaceTime(テレビ電話)を使って電話をしてくるので、「もうちょっと左を写して。そう、その左側の上の段に」などと指示をしながら、映像で確認し合ったりしています。

とにかく早く眠らせる

私たちは米国で暮らしていた時期もあるので感じるのですが、日本は遅刻してはいけないとの意識がとても強い国です。それを自覚しなくては社会で生きていくのが難しく、発達障害者にとって遅刻癖を改善するのは大きな課題です。先を読んで行動するのが苦手で、うっかりが多いため、忘れ物に気づいて家に取りに戻るという行動を繰り返し、早めの行動をしていても結果としてギリギリ、最悪は遅刻になります。

学校に遅刻しない秘訣は、毎日早く寝て早く起きることです。これはいたってシンプルな話です。米国の学校のケースワーカーや担任からも「規則正しい生活を」と言われていたので、毎日何があっても夜9時には寝かせていました。夜9時に寝るとその日どんなに疲れていても、翌朝は6時には起きます。とにかく早く寝て、早く起きる。毎日同じ時間に寝る。これは本人の努力というより、親が環境を整えるほうが大変でした。

夜9時に寝かせるためには、毎日私のスケジュールから時間を逆算して、その日のスケジュールを立てるしかありません。休みの日でも平日でも、私が忙しい日でもそうでなくても、誰か来客があっても、どこかへ遠出をしても、とにかく夜9時に寝るために、朝からすべてを決めていました。

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