「ランサムウエア」は1年前から急増していた 身代金を要求してくる危ないウイルスの脅威

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今回注目を集めている「WannaCry」だけではなく、ランサムウエアの脅威は増大している。トレンドマイクロに報告された法人のランサムウエア被害件数を見ると、2014年が34件だったものが、2015年に650件、2016年に2350件と急速に増加傾向にある。

従来のサイバー攻撃は、攻撃対象となる企業や組織の内部データの流出を狙ったものが多かった。しかし、ランサムウエアはファイルやデータを使用できない状態にすることで業務の継続を不可能にし、その解除と引き替えに金銭を得ることを目的としているのが特徴だ。

標的型攻撃に特化したセキュリティソフト中堅のFFRIの鵜飼裕司社長は、16日に行った決算説明会において、「ランサムウエアが増えていることで、中小企業でも『感染すると業務が止まってしまう』という危機感が増している」と指摘。実際、ここ1年ほどで中堅企業からの問い合わせが多くなっているという。

電通やANAは新興セキュリティ会社に出資

多様化するサイバー攻撃への対策強化を目的に、国内の大手企業が独自の技術を持つ情報セキュリティ企業に出資する動きも出ている。4月18日には、社員数5名の新興企業であるブループラネットワークスに、電通やANAホールディングス、第一生命保険、損保ジャパン日本興亜ら8社が計55億円を出資。ブループラネットワークス社は調達した資金をもとに、独自のセキュリティ技術を持つ米ブルーリッジネットワークス社の関連事業を買収した。

ブループラネットワークス社は吉本興業の元CFOである中多広志氏が代表取締役を務め、シマンテック日本法人の前社長である日隈寛和氏も執行役員として参画。今後、買収した技術をもとに6月から7月にウィンドウズPC向け製品を発売する予定となっている。将来的には日本での上場も視野に入れているという。

同社の技術は、感染リスクの高いアプリケーションを”閉じ込めて”、プロセスを隔離。プロセスの動作範囲を限定し、通常の動作以外のポリシー違反の動作を遮断する。「今回のランサムウエア『WannaCry』も完全に防御できる」(日隈執行役員)。

サイバー攻撃手法の巧妙化や、社会のIoT化によって情報セキュリティ対策の重要性が増している中、セキュリティソフト会社に求められる役割も重くなっている。 

島 大輔 『会社四季報プロ500』編集長

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しま だいすけ / Daisuke Shima

慶応義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程修了。総合電機メーカー、生活実用系出版社に勤務後、2006年に東洋経済新報社に入社。書籍編集部、『週刊東洋経済』編集部、会社四季報オンライン編集部を経て2017年10月から『会社四季報』編集部に所属。2021年4月より『会社四季報プロ500』編集長。

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