G7会議「トランプノミクス」に異論噴出の裏側 欧州や日本は依然として米国を警戒

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 5月15日、米政府は他の先進経済国がトランプ政権の政策を理解してきているとの見方を13日示したが、欧州や日本は依然として米国の政策転換に対する警戒感を緩めていない。写真は、ムニューシン米財務長官。伊バリで13日撮影(2017年 ロイター/Alessandro Bianchi)

[バリ(イタリア)15日 ロイター] - 米政府は13日、他の先進経済国がトランプ政権の政策を理解してきているとの見方を示した。ただ、欧州や日本は依然として米国の政策転換に対する警戒感を緩めていない。

主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議のためイタリア南部に集まった各国高官らは、トランプ大統領が保護主義的な姿勢を復活させ、銀行改革や気候変動に対する国際的な取り組みを後退させることを懸念しており、今回の会合でも米政権の考え方を知ろうと躍起だった。

米国は保護主義的になる権利を留保

これに対しムニューシン米財務長官は、会議閉幕後の記者会見で「保護主義は採りたくないが、貿易が自由・公正でないと考える場合には米国は保護主義的になる権利を留保している。米国はよりバランスの取れた貿易を求めており、そのことはこれまで説明してきている」と強調。「私や大統領の話から米国の経済に関するメッセージを受け取り、皆、安心感を強めている」と自信を示した。

しかし、他のG7メンバー国の閣僚らはムニューシン氏の意見に異論を隠さない。フランスのサパン財務相は記者会見で「他の6カ国は明確、そして時には直接に米国の代表に対して、国際協調の精神を持ち続けていくことが絶対的に必要だと発言した」と説明した。

フランス銀行(中央銀行)のビルロワドガロー総裁は、金融危機から何年も過ぎて世界経済の持ち直しに対するやや楽観的な見方が出てきているものの、米国の政策には依然、先行き不透明感が残るとし、世界経済へのリスクだと指摘。日本の麻生太郎財務相も、経済繁栄に貢献してきた自由貿易の流れを逆回転させてはならないと、同様の見解を示した。

欧州のG7高官は、米国が言うところの「公正な貿易」が何を意味するのか誰にも分からないことが問題だとし、公正さを実現する唯一の方法は、世界貿易機関(WTO)による多国間のルールを順守することだと話す。さらに、米国は2国間貿易の不均衡解消を求めているが、貿易収支は世界的な文脈においてのみ考えるべきで、健全な主張とは言えないとも批判した。

日本の財務省高官は13日、米連邦準備理事会(FRB)の今後の利上げペースには不透明感が残るが、最も分かりにくいのが、既に改善している米経済の成長を、さらに加速させようという米国での減税議論だと打ち明けた。

トランプ大統領は、輸入品に課税する「国境調整」により、減税に伴う歳入減を補うことは断念した。ただ、欧州連合(EU)欧州委員会のモスコビシ委員は、こうした税制改革に関しても「既に完全雇用、全速力の状態にある米国経済に対し、財政刺激策がそれほど大きな効果があるのだろうか」と疑問を呈した。

とはいえモスコビシ氏は「国境調整のようにより大きなダメージを与えかねず、現時点では検討の対象ともなっていない事柄について、われわれは議論を避けた」と付け加えた。

(David Lawder記者、William Schomberg記者)

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