鉄道広告の募集資料で見える「路線の特徴」 年収や学歴の高さをアピールする鉄道会社も

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JR東日本に次いで1日あたりの平均輸送人員が多い東京メトロの媒体資料は、子会社「メトロアドエージェンシー」のホームページに掲載されている。「首都圏の私鉄各社を大きく上回る輸送人員」を掲げ、その人数は1日に707万人だという。

東京メトロならではの特徴といえるのが「良好な掲出環境」だ。「地下を走る東京メトロでは、車内・駅構内ともに周囲の景色に影響を受けることなく広告を見せることができます」とのアピールが見られる。

地下区間の多い東京メトロでは、外の景色を見ることがあまりないため、広告に目が行きやすい。これは地下鉄ならではの特徴だろう。その証拠に、「メトロ利用時の電車内での行動」という項目では、「車内広告を見る」が61.0%、「車内に設置された液晶モニターを見る」が53.1%と高い割合を占めている。車窓風景が見られないことは、広告効果を高めるうえでは有効なのだ。

東京メトロは、路線が通る地の利のよさもアピールのポイントだ。「昼間人口の多いエリア」「大企業の密集エリア」「商業施設の多いエリア」と、企業が広告のターゲットとして想定する人々が多い地域に路線網がある。

空港直結や学校の多さをPR

では、利用者数の多さを売りとするJR東日本や東京メトロ以外の各鉄道会社は、自社のどんな点をPRしているのだろうか。その答えは各社の媒体資料にある。

たとえば京成電鉄は、空港輸送を中心に媒体としての鉄道の価値を高めようとしている。「KEISEI MEDIA GUIDE」によると、京成の基軸は空港輸送。ターゲットは、成田空港利用者や外国人利用者だ。同資料によると、成田空港へ電車で移動する人の6割弱が京成を利用しているという。日本の玄関である国際空港へ直結する路線という点を強みとしているのだ。

同じ視点は、羽田空港へ向かう京浜急行電鉄にも見られる。同社の子会社「京急アドエンタープライズ」の媒体資料は、「品川駅」「羽田空港国際線ターミナル駅」「羽田空港国内線ターミナル駅」の3つの駅を重点的に取り上げており、空港と、空港へ向かう人が利用する駅を積極的にPRしている。

沿線利用者の「若さ」を売りとしている鉄道もある。東武鉄道は「TOBU AD MENU」で、沿線に大学・高校などの学校が290校以上あり、通学定期の輸送人員が約43万人であることをアピールしている。同社の場合、地下鉄への乗り入れによって車両が1都5県にまたがって走ることもポイントだ。相互乗り入れの拡大は、広告効果という点でも効果を生むことがわかる。

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