鉄道広告の募集資料で見える「路線の特徴」 年収や学歴の高さをアピールする鉄道会社も
若年層や学生の利用が多いことをアピールしているのは東武だけではない。小田急電鉄の資料にも「新宿から世田谷、多摩、町田や厚木、さらに藤沢まで幅広いエリアにかけて、大学、短期大学、専門学校などの教育機関が多数点在する小田急沿線。そのため通学利用者が多く、若い世代に的をしぼった商品・サービスなどの広告展開をおこなうのにも最適です」との文言が見られる。西武鉄道の媒体資料にも「広がる学校群─若い活気に満ちた西武線沿線」という内容がある。
若い世代は消費者として広告のターゲットであるのはもちろんだが、さらに別の要素もある。東武の資料の言葉を借りれば、学生に強いということは「SNSなどを利用した情報拡散が期待できる」ことになるのだ。一般的に、通学利用者が多い鉄道は通勤ラッシュと逆方向の利用が期待できるため、運営面でメリットがあるとされるが、広告の面でも利点があるわけだ。
読書家の多さも売りに?
一方で、利用者の「質」を前面に押し出す鉄道会社もある。東急と京王だ。とくに東急は、沿線住民の年収や学歴の高さをアピールのポイントとしている。
東急の媒体資料サイト「TOKYU OOH」によると、東急沿線は専門職・自由業の利用者がやや多く、世帯年収が1000万円以上の人が約3割であり、大学・大学院卒の比率が高いと記されている。そして東急沿線住民がどんなレジャーをしているか、どんなものに関心を持っているかなどについても細かく書いてある。「映画・演劇や音楽ソフト・映像ソフトへの関心が他社線利用者より高く、情報感度やアートへの関心の高さがうかがえます」との文言は「東急沿線ブランド」らしさを感じさせる内容だ。
京王の媒体資料では、沿線住民の感度の高さをアピールすると同時に、趣味や勉強への意欲の高さをアピールしている。とくにユニークなのは「読書に興味関心がある」という項目だ。京王線は37.5%、井の頭線が41.8%と、平均の30.2%を大きく上回っている。実際に、京王線内には書籍の広告が目立つ。
鉄道各社の媒体資料を見ると、鉄道会社がその鉄道をどう売り出したいかが見えると同時に、鉄道各社の強みや、場合によっては沿線住民の特徴もよく見えてくる。東京の鉄道各社が持つ個性は、各社の駅や車内にある広告からも見えてくるのだ。
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