韓国の大統領選に「泡沫候補」が乱立する事情 供託金3億ウォンを失うかもしれないのに…
泡沫候補の一人、セヌリ党のチョ・ウォンジン候補は、昨年の朴槿恵(パク・クネ)前大統領の弾劾に最後まで反対した一人。朴前大統領を支持する支持者は、集会を開くなど、弾劾賛成派に真っ向から対立した勢力だ。そのためチョ候補にとって、3億ウォンの供託金は大金ではなかったが、朴前大統領の支持者が出した後援金で、しっかりと支払えた。
チョ候補は「朴前大統領の弾劾を認められず出馬した」という。しかも「裁判では朴前大統領の無罪が立証される」と確信している。保守派の有力候補の中には、自由国民党の洪候補、「正しい政党」の劉承旼(ユ・スンミン)候補の二人がいるが、二人ともすでに「保守右派からは見放された候補」と断言する。「声を出せない保守、二人の保守候補に憤りを感じているすべての保守票が、私に向かってくるはず」と自信を見せる。
経済愛国党のオ・ヨングク候補も、供託金3億円を自分が直接支払わなかったと打ち明ける。オ候補は「私を助けてくれるところが全額を出してくれて、自分の負担は重くなかった」という。出馬理由については「世界的な平和団体が、経営者出身として資金を融通できるグローバルリーダーは私しかいない、と強力に推薦してくれた。ひと月悩んだが出馬を決めた」と説明する。選挙戦の戦い方については「政見放送をカカオトークやユーチューブ、ヤフー、グーグルなど、各種SNS(ソーシャルネットワークサービス)を通じて世界に流している」と述べた。
かつての与党重鎮をも悩ます選挙資金
国民大統合党のチャン・ソンミン候補は、既存の政界を根底から変えるという覚悟で挑戦状をたたきつけたという。そのため3億ウォンの供託金をまったく意に介していない。「与野党のゴミのような政治家をすべてなくし、国会も解散せよというのが本当の民心だ」と指摘する。さらに「私は韓国南東部・全羅道出身の中道保守候補。(同地域で支持者が多い)国民の党の安候補を支持しない票が私のところに来る。だから私が選挙で当選する」と鼻息荒い。
「いつも青い韓国党」候補で、かつての李明博(イ・ミョンバク)政権で要職を務めた李在五(イ・ジェオ)候補は、改憲論者として有名な人物だ。そのため、「改憲だけを目的に出馬した」と出馬理由を説明し、「改憲だけ実現させれば、任期短縮も受け入れる」と公言する。しかし、党の資金事情はよくなく、李候補の選挙戦は超節約型の選挙戦。選挙費用を5億ウォンと策定し、借金で1億ウォン、党費と後援金で4億ウォンを準備した。この5億ウォンのうち、3億ウォンを供託金へ、残り2億ウォンを選挙広報や遊説車両、食費や宿泊費などに宛てている。李候補は「大統領候補は誠意をすべて見せるのが重要であり、支持率ばかり考えると何もできなくなる」と選挙戦の完走に意欲を見せる。
民衆連合党のキム・ソンドン候補は、旧統合進歩党の2年生議員だった。2011年に韓米FTA(自由貿易協定)の批准を国会で審議中、催涙弾を国会内に投げ入れたことで議員資格を喪失した。キム候補は、「革新政治の復活」を叫び出馬した。「労働者を代弁する本当の革新政党こそ民衆連合党。文候補と一対一の討論をしたい」と要求。が、キム候補も選挙費用に頭を悩ませ、大々的な遊説などはできていない。
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