南スーダンは自衛隊撤収で「終わり」ではない 国際社会を悩ます「世界で一番若い国」の破綻

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ジュバ市内でスーダンからの帰還民の一時収容施設を建設する自衛隊施設部隊(2012年8月、筆者撮影)

日本政府が「国連南スーダン共和国派遣団(UNMISS)」への自衛隊施設部隊の派遣を開始したのは2012年1月のこと。第11次隊まで延べ4000人が派遣され、ジュバ市内をはじめ約210キロメートルの道路補修、国連施設など約50万平方メートルの用地造成を行った。

筆者は宿営地を2回訪ねたほか、ジュバの道路整備、スーダンからの帰還民収容施設の建設現場を取材し、地方で偵察部隊に遭遇したこともあるが、指揮官から若い隊員まで気のいい人たちだった。

従来のように国連の指令を受けて作業するだけでなく、現地のニーズを拾って独自に案件形成し、JICAと協力して実現する能動的な取り組みもあり、ある時期までは「政府開発援助(ODA)とPKOの連携」という新たな展開の可能性があった。

とはいえ、日本では想像できないほど社会インフラが立ち遅れた南スーダンで、210キロメートルの道路補修、国連用地の造成がどれほどのインパクトを与えたかは、炎天下で汗を流した隊員たちの健闘ぶりとは別の問題として、正直なところ疑問を感じざるをえない。

何より気になったのは、日本国内の論議と現地の実情があまりにもズレまくっていたことだ。

不毛極まる国内論議

ジュバで2016年7月、2013年末と同じ構図の武力衝突が発生し、混乱の中でPKO部隊が援助関係者の救出要請に応じなかったことが重大視された。PKOの重点は「国づくり支援」から「文民保護」に移っており、安倍晋三政権は2016年11月、安全保障関連法に基づく「駆け付け警護」「宿営地の共同防衛」を新たな任務として派遣部隊に課した。

日本では大きな論議を呼んだが、現地で見れば、自衛隊は13カ国・約1万2000人が参加するPKO部隊のごく一部にすぎない。駆け付け警護について、「UNMISS軍事部門幹部は『不測の事態に対処するのは歩兵部隊の仕事だ』として、工兵隊(施設部隊)が主力の自衛隊は初めから当てにしていなかった。

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