「アヴェンタドールS」はどこでも楽しい車だ ランボルギーニ旗艦モデルのスゴい実力
最大の注目点は統合制御システムだ。ステアリングとサスペンションシステムとパワーとを、ドライブモードに応じて最適制御する。ドライバーは同じように操縦しているつもりでも、コーナーの入り口ではパワーをやや抑え、出口に向かっては総輪駆動システムを使い後輪へのトルク配分を多めにして矢のような加速を味わせてくれる。
かつ今回は後輪操舵システムを組み込んだのがニュースだ。ステアリングホイールの切れ角と同位相または逆位相に後輪が動く。低速では小さなクルマのように取り回しがよくなり高速では安定。スラロームで、従来のアヴェンタドールと乗り較べてみたところその俊敏性に舌を巻いた。
Sというサブネームが意味するところは期待以上に大きかった。
雪上も楽しい
じつはアヴェンタドールSはウィンタードライビングも楽しい。
バレンシア直後に、スイスと国境を接するイタリア・ロンバルディア州のリヴィーニョで「ランボルギーニ・ウィンターアカデミア」と題した雪上試乗会が開催された。
アカデミアはランボルギーニの一般参加型の体験試乗会。レースも行うスクアドラ・コルセの、手練れのインストラクターがつく。
「740馬力のクルマのアクセルペダルを思う存分踏むいい機会です」
イタリア人の”先生”の言葉どおり、12時間かけてV10のウラカンとV12のアヴェンタドール、2つのモデルでのドライブを堪能できる内容だった。
とりわけ楽しませてくれたのは、ステアリングホイールの舵角とアクセルワークとでリアを派手に滑らせるパワースライド走行。ただしそれをしながらパイロンの関門を通るなど、目的はあくまでもクルマの挙動をドライバーの支配下におくことにある。
4WDのウラカン・クーペも(高性能のジャイロセンサーの働きもあり)610馬力のティラノサウルスレックスとはいえ、操縦しやすいモデルだった。そのあとアヴェンタドールSに乗ると、ウラカンを圧倒するゴジラのようなパワーだ。しかしピレリのソットゼロという優れたスタッドレスタイヤのおかげもあり、感情の奔流を知性でコントロールできるのだ。
公道に加えサーキットと雪上、このスーパースポーツを所有したら”天国”は数多くあると知れた。
(写真・エリック・ミコット、文・小川フミオ、森口德昭(GQ))
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