競技人口の減少一つを取っても、日本野球の先行きが決して明るいとは言えない状況が見えてくる。しかし、一般の野球ファンの間でそうした認識が広がらないのはなぜか。プロ野球、高校野球の表面的な繁盛ぶりが実態を見えなくしているからだ。
前述したとおり、プロ野球は2500万人に迫る過去最高の観客動員を記録した。それ以前にもこれに近い観客を集めた年はあったが、2004年までは各球団は実数ではなく水増しされた数字を発表していたという事情がある。たとえば収容人数が4万5000人の球場でも満員になれば5万5000人という調子だった。
プロ野球の観客動員数からは見えない事実
その後、2005年からは観客動員の実数(有料発券数と無料発券数の合計)を発表するようになっている。水増しをやめたにもかかわらず、今から10年前の2007年には2118万人、5年前の2012年には2137万人、それが2016年は2498万人と増加の一途をたどっている。2016年は、10年前との比較で17%増、5年前と比べると16%増だった。先ほど開幕した2017年シーズン、開幕3連戦の観客動員も、前年比12%増の64.6万人。満員札止めの試合もあった。
観客動員のデータだけを見ていると、プロ野球に関心を持ち、応援するファンは増えているとしか思えない。しかし、残念ながらそうではないことを示すデータがある。
調査会社のマクロミルとシンクタンクの三菱UFJリサーチ&コンサルティングが共同で実施し、昨年10月に発表した「2016年スポーツマーケティング基礎調査」は、「プロ野球ファン人口」の推計値を出している。全国の15~69歳の男女計2000人を対象にした調査を基にして算出したものだ。
この推計によると、2016年の12球団のファン人口は、2747万人。594万人の巨人を筆頭に、470万人の阪神、311万人の広島と続いている。
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