「高血圧」を放置した人に訪れる想定外の不幸 「自ら動かなければ」最新医療の恩恵はない
そして恐ろしいことに、月に何度も私はこんな事例を見ていました。
脳卒中は適切に治療をしたとしても高い確率で後遺症を残します。骨折などと異なり、脳の細胞は1度ダメージを受けてしまうと2度と再生しないためです。さらに、脳障害はあるものの内臓機能などは健常であることから、後遺症をもったまま何十年も生きるケースが多く、これが介護の原因第1位となるゆえんです。
脳卒中で最も大切なことは「脳卒中をなるべく起こさないようにすること」です。当たり前のように思われるかもしれませんが、実際に紹介したFさんは、脳卒中や心筋梗塞の主な原因である高血圧を放置したままでした。実際に、こうした生活習慣病の半数以上の方が未治療で放置しているデータがあります。
50代男性の6割が高血圧を放置している
50代男性では、高血圧と診断された人のうち6割が治療をしていないと言われています。もちろん他にも脳卒中の原因はさまざまですが、高血圧をはじめとする生活習慣病が脳卒中の原因として重要であることは間違いありません。また、高血圧は脳卒中のほか、心筋梗塞や腎臓の障害など、その他の重大な病気につながります。それにもかかわらず、なぜ多くの人はこうした症状を放置してしまうのでしょうか?
高血圧や高脂血症、糖尿病などのいわゆる生活習慣病は「サイレントキラー」と呼ばれることがあります。痛くもかゆくもないのに、放っておくと致命的な病気を引き起こすからです。しかし症状がほとんど出ない一方で、治療には定期的かつ長期的な通院と服薬が必要なケースが少なくありません。
そして多くの場合40~50代の働き盛りの世代から健診などで指摘され始めます。治療したほうがいいと言われていても、特に自覚症状がないうえに忙しい。その結果、「忙しくてそんなに定期的に病院にいけない」「治療を始めてみたものの、通院が続かなくて治療をやめてしまった」、そんな方が多いのです。病院では1~2時間待たされることはざらですが、多忙なビジネスパーソンがその時間を取ることは相当な負担であることは間違いありません。
最新医療の恩恵を得られるかは「自分から積極的に医療にかかわる意識があるか」に委ねられているのが現状です。健診や人間ドッグも受けることが義務付けられているわけではありませんし、たとえば高血圧と診断されても通院しないことに何もペナルティはありません。
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