「トランプのアメリカ」でFRBは受難の時代に BNPパリバの米国チーフエコノミストに聞く

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――米国の長期金利はいったん大きく低下しました。背景には何があるのでしょうか。

背景として、日本と欧州の低金利がある。米国の減税の見通しについての失望感もある。インフレ率も期待していたよりは弱含んでいる。要約すれば、(トランプ氏当選以降の)リフレトレードが修正されている。

――来年2月に任期を迎えるイエレンFRB議長の後任人事が取りざたされています。

私は金融界やビジネス界出身の人が就くと予想している。もし1人挙げろと言われたら、(ゴールドマン・サックス出身で、トランプ政権の国家経済会議委員長を務める)ゲイリー・コーン氏だ。政権内で重鎮のポストをもらっており、非常に優秀で、トランプ大統領と近い関係にある。トランプ氏は前大統領のオバマ氏と異なり、金融政策の専門家を任命したがっていない。

投資家がむしろ心配しているのは、これまでの何代もの前任者と違って、誰が議長になってもトランプ氏からの政治的圧力にさらされてしまうことだ。中央銀行が政治的圧力にさらされている、というのは世界的な現象でもある。

FRBには金融緩和方向への圧力がかかる

――できるだけ金融緩和を継続して金利を低く抑えるようなバイアスがかかりやすいということですか。

そういうことだ。FRBはそうした圧力をいかに制限するかが自分たちの仕事であると言うと思う。しかし、中央銀行の運営は機械的にできるものではなく、判断を伴う。FRBに強い政治的圧力がかかり、なかなか自分たちの思うような政策を取ることはできないだろう。

――今後のFRBの利上げ見通しについて、今年3回、来年4回と予想しているそうですが、これは来るべき景気後退局面に備えた「のりしろ」として十分ですか。

経済が下降局面入りする2019年はまだまだ先で、ドルや株式相場、世界経済はどうなるかわからない。この利上げ回数で十分かもしれないし、もっと必要かもしれない。金融政策はサイエンスではなくアート。だから微妙なのだ。

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