三井や東急はなぜ「学生寮」を建て始めるのか 新収益源へ大手デベロッパーが相次いで参入
「学生情報センターは大学とのコネクションが強い。今後は(東急ハンズなど)グループ会社のコンテンツとからめていきたい」と大隈社長は狙いを話す。
東急不動産は2020年度までに、学生向けレジデンス事業として年間売上高で約100億円を目標に育成する方針だ。
ほかにも、伊藤忠都市開発が今年3月に武蔵小杉で初の学生寮(390室)をオープンするなど、学生寮ビジネスへ参入する大手デベロッパーは後を絶たない。
では、なぜ学生寮なのだろうか。理由の一つとして挙げられるのは、デベロッパーにとって、一般的な賃貸マンションよりも、収益が安定している点だ。
学生寮の家賃は保護者が支払うことが多く、滞納率は低い。また、卒業時期が決まれば退去日を事前に把握でき、計画的に次の入居者の募集を進められるため、空室となる期間を減らしやすい。
土地の仕入れでのメリットも大きい。首都圏のマンションはここ数年、都心の駅近で利便性の高い場所でないと借り手や買い手が見つからないケースが増えている。こうした土地は高騰しているうえ、入札競争も厳しく、用地の仕入れが思うように進まない。
駅近でなくても需要がある
学生寮は大学や専門学校などへのアクセスがよければ、都心や駅近でなくても一定の需要が見込める。マンションでの開発が難しい不便な立地や、南向きではない土地も活用しやすいため、相対的に安い価格で仕込むことができる。
一人暮らしの学生はワンルームマンションやアパートを借りているケースがほとんど。今後の課題は、どれだけ学生を取り込んでいけるかだ。
「(大手デベロッパーは)100戸以上の大規模な開発ができるのが強み。共用キッチンや、歓迎会などのイベントを開催できるような共用部を充実させれば、ワンルームマンションと差別化できる」と東急不動産・住宅ソリューション部の担当者は自信をみせる。
目算どおり学生寮という新分野を育成できるか。デベロッパーが持つノウハウを生かして、ハード・ソフト両面で学生のニーズに沿った独自の付加価値を打ち出していけるかがカギを握る。
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