スタバ「今年のフラペチーノ」は何が違うのか ドーム状のパイがかぶさっている

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今回のファンイベントについて足立氏は、「商品のコンセプトにもなっている、明るさ、楽しさを表現するため」、屋外でのフェスという形態を思いついたという。なお、「フェス」とは、フェスタやフェスティバルの略。もともとは「夏フェス」といった具合に、野外での音楽イベントなどを表現する言葉だ。屋外や夏など、開放感を伴うイメージを含んでいる。

また、「スターバックスの店舗は全国にあるが、パートナー(店員)とお客様との触れ合いは一言、二言交わすぐらい。もっとゆっくりと触れ合って、つながりを強くしたいということから、フェスイベントを企画した。また、今回、音楽イベントだけでなくスタバにまつわるワークショップも開催するので、スタバのいろいろな魅力を知ってもらいたい」(足立氏)とも語った。今回、スタバの店員もイベントのスタッフとして全国の店舗から招いているそうだ。

毎年、イベントには、「マイスターバックス会員」という名称のスタバファンが招待される。今年は屋外会場ということもあり、抽選で2000組4000人という、かつてない規模となった。とはいえ、応募開始1時間で1万人超の申し込みが殺到し、5日間の申し込み期間中に6万人からの応募があったとのこと。スタバ人気は相変わらずというところだ。

「お茶」参入や業態の多様化が見られる

スターバックス コーヒー ジャパンは現在、全国に約1250店舗。グループとしては、2016年10月に新たなお茶ブランドTEAVANAをスタートし、世界で1250億ドル規模と言われ、今後も拡大が見込まれる「お茶」市場への参入を果たした。そのほかにも、TEAVANAほど大々的ではないが、業態の多様化を図っている。たとえば2013年に世田谷に1号店をオープンし、首都圏に7店舗、神戸に1店舗を展開する「Neighborhood and Coffee Store」や、2016年3月に開始したアルコール業態「STARBUCKS EVENINGS」などだ。

また、2018年には「スターバックス リザーブ ロースタリー」として、焙煎や抽出などコーヒーの世界を体感できる店舗を中目黒にオープン予定だ。登録有形文化財の建物などを活用した、和の空間が感じられるコンセプトストアも全国に十数店舗展開している。これなどは、オリンピックを控えたインバウンドを取り込む意図もあるだろう。

世界中、どの国に行っても“おなじみのスタイル、同じ味”がスタバの価値であり、安心感でもあった。しかしこうした一連の流れを見ていると、新たな価値を生み出すべく、これまでとは異なる方向へ舵を切った感がある。そして市場としても大きな日本が、その先陣を切る存在として重視されていることは間違いない。

圓岡 志麻 フリーライター

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まるおか しま / Shima Maruoka

1996年東京都立大学人文学部史学科を卒業。トラック・物流業界誌出版社での記者5年を経てフリーに。得意分野は健康・美容、人物、企業取材など。最近では食関連の仕事が増える一方、世の多くの女性と共通の課題に立ち向かっては挫折する日々。contact:linkedin Shima Maruoka

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