池上彰+佐藤優「最強の歴史学び直し」勉強法 「歴史小説、漫画、教科書、学参」スゴい活用法

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佐藤:『いっきに学び直す日本史』の原著書である『大学への日本史』は、歴史上の重要な事件もかなり細かなところまで記述していながら、ひとりの著者がすべてを書き上げているので「ストーリー性」が非常に高く、「読み物」としても非常に面白い

池上:先ほど話した「日本史B」の教科書は、複数の著者がパートごとに執筆しているので、どうしても情報の羅列で面白みに欠けがちです。それとは一線を画しているわけですね。

佐藤:そうなんです。そしてポリシーとしても、世界標準である「センターレフト」を保っているので、バランスがいい内容です。

『いっきに学び直す世界史』も来春刊行予定

池上:世界史を学び直したい読者には、研文書院の『大学への世界史の要点』(大久間慶四郎著)は絶版になっていて、手に入れるのは難しいんですよね。

佐藤:実は今、こちらの本も『いっきに学び直す世界史』として、リニューアル復刊の準備を進めているところです。今回は、現役の高校や大学の複数の先生たちにお願いして、内容のチェックだけでなく解説やコラム原稿も加筆してもらい、「読み物」としてもさらにわかりやすく、面白いものにできそうです。

【歴史を学び直すコツ5】山川の『用語集』をサブテキストに

佐藤:これらの学習参考書を上手に使いつつ、もう少し詳しい説明が必要なときには、山川出版社の『日本史用語集』『世界史用語集』をサブテキストにするのがいいと思います。これだけあれば、世界のエリート層とコミュニケーションをとるときにも確実に通用します。

池上:確かに、受験生のときには「何のために、こんなことを覚えるのか」と疑問に感じたことでも、世の中の仕組みを勉強するにつれて、「あの歴史があったからこそ、現代があるのだ」とつながって理解できるようになります。基礎知識はすぐに身に付くものではありませんが、しっかり土台を厚くしておけば、結果として効率よく知識を蓄積できるので、手を抜かないでしっかり学んでほしいですね。

佐藤ビジネスパーソンにとって、仕事のスキル以上に差がつくのが、実は「教養」であり「歴史の知識」なんですね。逆にいうと、自分の「欠損」を認めて一度補ってしまえば、いっきに差を縮めることもできる。しかも、一度身に付ければ、歴史の教養は一生使える知識になるので、ぜひビジネスパーソンも「上手なやり直し勉強法」で歴史の知識を強化してほしいですね。

池上 彰 ジャーナリスト

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いけがみ あきら / Akira Ikegami

1950年、長野県生まれ。1973年慶応義塾大学卒業後NHK入局。ロッキード事件、日航ジャンボ機墜落事故など取材経験を重ね、後にキャスターも担当。1994~2005年「週刊こどもニュース」でお父さん役を務めた。2005年より、フリージャーナリストとして多方面で活躍中。東京工業大学リベラルアーツセンター教授を経て、現在、東京工業大学特命教授。名城大学教授。2013年、第5回伊丹十三賞受賞。2016年、第64回菊池寛賞受賞(テレビ東京選挙特番チームと共同受賞)。著書に『伝える力』 (PHPビジネス新書)、『おとなの教養』(NHK出版新書)、『そうだったのか!現代史』(集英社文庫)、『世界を動かす巨人たち〈政治家編〉』(集英社新書)など。

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佐藤 優 作家・元外務省主任分析官

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さとう まさる / Masaru Sato

1960年、東京都生まれ。同志社大学大学院神学研究科修了。

2005年に発表した『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』(新潮社)で第59回毎日出版文化賞特別賞受賞。2006年に『自壊する帝国』(新潮社)で第5回新潮ドキュメント賞、第38回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。『読書の技法』(東洋経済新報社)、『獄中記』(岩波現代文庫)、『人に強くなる極意』(青春新書インテリジェンス)、『いま生きる「資本論」』(新潮社)、『宗教改革の物語』(角川書店)など多数の著書がある。

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