名鉄の名古屋駅新ビルが400mもある理由 わかりにくいホーム構造が「自殺ゼロ」に貢献

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2015年に発表された再開発構想では3棟の超高層ビルが建設される予定だった

その理由を解き明かすには2年前にさかのぼる必要がある。それまでの計画では再開発は名鉄レジャックまでの5つのビルが対象だったが、2015年に日本生命ビルも一体的再開発に参加する可能性があると発表された。

このときの計画では道路の上をペデストリアンデッキと商業施設でつなぐという構想だった。道路をまたいでつなげる理由について、当時の山本亜土社長(現会長)は、「ペデストリアンデッキが名鉄レジャックで止まらず、その先にも南に延びていくのはプラス」と語っている。

日本生命ビルからさらに南に延びると、巨大再開発エリア「ささしまライブ24」がある。オフィスビル、ホテル、シネコン、大学、テレビ局などから構成され、名古屋市が「国際交流拠点」として期待するエリアだ。名古屋駅から徒歩10分だが、殺風景なビル群の前を歩くとたどり着くまでの時間が長く感じる。

再開発ビルが完成すると名古屋駅からささしまライブまでの導線が整備される。つまり、ささしまライブの価値を高めたい名古屋市にとっても好都合な話なのだ。道路の上に建物を造ることについては、「名古屋市からもおおむね前向きにとらえてもらっている」(安藤社長)という。

3つのビルから方針転換

ただ、もう1つ疑問がある。2015年当時は、一体化といっても、3棟の超高層ビルをペデストリアンデッキなどでつなぐという計画だった。3連のビルとは、名古屋駅からヤマダ電機までのビル4棟を一体開発したオフィス・ホテル・商業施設の複合ビル、名鉄レジャックを建て替えたホテルとマンションの複合ビル、そして日本生命ビルを建て替えたオフィスビルだ。特に4棟一体開発のビルは名古屋で最も高い地上50階建てを想定しているともいわれていた。なぜ3棟の超高層ビルが1つの横長ビルというアイデアに変わったのだろうか。

実は、2年前に山本氏がそのヒントになる発言をしていた。「ミッドランドスクエアなど、ほかの高層ビルと高さを競うつもりはない」

現在の名古屋駅周辺は超高層ビルが林立し摩天楼と化している。そこへたとえ「名古屋トップ」を含む超高層ビルが新たに3棟増えたところで話題性は乏しい。それよりも、3つのビルをひとまとめにした横長ビルなら名古屋の新たなランドマークとして注目が集まるかもしれない。

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