米国が北朝鮮を攻撃する「Xデー」はいつか 核兵器開発を傍観しているわけにいかない

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北朝鮮は自国が脅威にさらされた時とき、日本を最も可能性の高い標的とするのではないかという見方もある。いずれの行動も、北朝鮮の体制の終焉を意味するだろうし、米韓政府は北朝鮮への侵攻計画を実行に移すことになるだろう。

過去数年で、米軍と韓国軍は北朝鮮の侵攻を食い止める訓練から非武装地帯 (DMZ) を越えて広範囲の進攻を行うための計画づくりに重点を移してきた。

これは非常に大規模なもので、米国やほかのあらゆる国が近年戦ったすべての戦争が小さく見えるほどだ。攻撃する部隊は、山がちな地形、統制がとれている敵、そして化学・核・放射性物質の潜在的な脅威に直面することになる。

トランプ大統領は予測不可能

もっとも、米国の目的は北朝鮮の首脳陣を排除することであり、それ以上の侵攻ではないことを示すいくつかの兆候がある。韓国の通信社、聯合ニュースによれば、2011年の攻撃でオサマ・ビン・ラディン殺害を実行した部隊「ネイビー・シールズ・チーム6」が今回の演習に参加していた。韓国軍高官曰(いわ)く、彼らは韓国軍とともに北朝鮮首脳部への攻撃をシミュレートしていた。

しかし、実際に実行するのは極めて困難だ。北朝鮮の防空体制により、ヘリコプターによる部隊輸送は難しいうえ、金正恩は厳重に警備されていると考えられるからだ。

今のところ、金正恩は自らの核開発計画を確固たるものにすることができると考えているように思われる。しかし、どんな困難が立ちはだかっていようと、米国がこれを傍観し続けることはないだろう。

トランプ大統領は、これまでの大統領の中で最も言動が予想できない大統領の1人である。これまでの大統領が北朝鮮に対する軍事的リスクを取らなかったからといって、彼もそうであるとは限らない。彼の行動は災いを招くかもしれない。しかし、「何もしない」ことは、将来の対立をより悪化させるとの非難を浴びることになるだろう。

著者のピーター・アップス氏はロイターのグローバル問題のコラムニスト。このコラムは同氏個人の見解に基づいている。
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