DAZN、加入者数伸びても遠い採算ライン スポーツ映像配信、「波乱の船出」
Jリーグ中継から撤退したスカパーのJリーグ関連の加入者が「20万件程度だった」(関係者)ことを踏まえると、Jリーグの村井満チェアマンが狙ったJリーグの試合を観られる人を増やす「すそ野拡大」という意味では、無難な滑り出しと言えそうだ。
DAZNのジェームズ・ラシュトン最高経営責任者(CEO)は17日、ロイターの電話インタビューで、30万件という数字について「正確ではない」としながらも、「大体それくらい(in the ball park)」であることを認め、「われわれはドコモの数字には非常に満足している」と語った。
DAZNからドコモへ
だが、DAZNにとってドコモとの提携は諸刃の剣でもある。関係者によると、DAZNに正規料金を支払っていたドコモユーザーがDAZNを解約して、ドコモ向けサービス乗り換えているという。同サービスはDAZNとドコモが収入をシェアする形になっており、DAZNの取り分は980円よりもさらに少なくなる。
関係者によると、DAZNとドコモのレベニューシェアは、加入者数を3段階程度に分け、加入者数に応じてドコモの取り分が増える契約になっている。ドコモに加入者獲得のインセンティブをつけた格好だ。だが、これは加入者の増加ほどDAZNの収入が増えないことを意味する。
Jリーグと契約した10年間で2100億円という放映権料は、1年平均では210億円の支払いとなる。DAZNがこれに見合う収入を上げるためには、正規料金の1750円で最低100万人の加入者が必要だ。
だが、正規料金からドコモユーザー向けの低料金サービスに加入者が流れていることを考えると、採算が取れる加入者数は100万人では足りず、さらに多くのファンを取り込まなければならない。
関係者によると、JリーグとDAZNとの契約は、最初の3年間は年160億円を支払い、その後増えていく取り決めになっているという。ラシュトンCEOは「取引が長くなるほど、支払額は高くなる」契約であることは認めたが、詳細については言及を避けた。
加入者の伸びが鈍化すれば、支払い負担が重くなるというリスクがある。