日本一のバリスタに聞く「いいカフェ」の見方 プロはお店のここを見る!
──活動の幅が本当に広いですね。まさに世界を股にかけて活躍している井崎さんは、いろいろなカフェでコーヒーを飲んでいると思います。誰にでもわかるような、おいしいカフェの選び方を教えてください。
井崎:わかりました。まず、コーヒーは嗜好品なので、自分が好きな味を楽しんでもらえればいいと思うんです。ただ、どんなカフェがおいしいコーヒーを出している可能性が高いか、という視点であれば、まず僕は、カフェに入ったらマシンまわりを見ます。整理整頓ができているか、ということです。
──整理整頓!?
井崎:はい。コーヒーって、簡単にいうと粉と水を混ぜる、それだけなんです。その単純な仕組みのなかで、僕らは豆をどう挽くのか、どれぐらい詰めるのか、どれぐらいの気圧で淹れるのか、どれぐらいの秒数で淹れるのかというたくさんの要素をコントロールしながらコーヒーを作っています。
結局、コーヒーの味は、細部への心配りの積み重ねであり、細かい心配りができる人がうまいコーヒーを淹れられる人なんですよ。
僕は世界中で、成功しているカフェも失敗しているカフェも見てきたけど、成功しているカフェはみんなきれいに、丁寧に器具を使っているし、トイレもきれいです。面白いことに、これは本当に世界共通なんですよ。
また来たいなと思えるかどうか
──なるほど! それでは、まずお店が整理整頓されているか、トイレがきれいかがチェックポイントですね。ほかにありますか?
井崎:接客です。僕は接客重視の男なんですよ。小さい頃から親父(福岡のハニー珈琲店主)に「お前の飯は、お客さんからもらった数百円のコーヒーでできてるんだ」とよく言われていて、それが自分の感覚として根付いてるんです。
コーヒーは毎日飲むもので、僕たちは寿司屋じゃない。だから、接客は一にも二にも大事なことだと思います。接客が悪いと、うまいコーヒーもまずくなるでしょ。
──確かにそうですね。井崎さんにとってはどんな接客が良い接客なんですか?
井崎:カフェブームと言っても、スペシャルティコーヒーって難しいな、頼みにくいなと思う人もいると思うんですよ。そういう気持ちをどれだけくみ取ってコミュニケーションできるか。いつでも来てください、わからないことがあったらなんでも聞いてくださいと。
どんどん新しいカフェが出てくるなかで、尖ったことをしようとして接客がおろそかになっているところもあるかもしれないけど、それは本当にもったいないことだと思います。お客さんからしたら、また来たいなと思えるかどうか。それが最大の判断基準です。
コーヒーのカンファレンスでトークセッションをすると、みんなコーヒーの超マニアックな話を聞けると思ってくるんですけど、僕はいつも成功するカフェの条件としてこういう話をするので、みんな「え?」みたいな顔をするんです。でも、これは大事なことだと僕らが言っていかないといけない。
逆にいうと、お店がピカッと清潔で接客も温かくて心地よいというカフェがあったら、そこのコーヒーはおいしいと思います。
──おいしいカフェは飲む前にわかる、ということですね。ありがとうございました!
(取材・文/川内イオ)
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