「スマホ成熟社会」の次は、どのような世界か 大きく動き出すのは2020年代半ば以降?
普段スマートフォンを使っていると、多少使いにくくても「これが当たり前」と受け入れてしまいがちが、よく考えてみると、狭い画面の中で指を使って細かい情報を打ち込んでいるのは、快適かといえば嘘になる。
理想は、物理的な小さな画面ではなく、自分の眼の前に広がる空間そのものに情報を映し出すことだ。AR(Augmented Reality 拡張現実)、そしてその先にあるMR(Mixed Reality 複合現実)まで行き着くと、この世界が出現することになる。たとえば、ワイヤレスのホログラフィックコンピュータであるMicrosoft社の「HoloLens(ホロレンズ)」は、そのような体験を可能にするものとして、話題になった。
「VR、AR、MRは完全にひとつなぎの存在。最終的には空間がキャンパスになり、UI(User Interface)、UX(User Experience)のこれまでにない大きい進化が起きる。リアルとバーチャルをシームレスに行き来する時代が来る」(国光氏)
VR関連には、いつ参入するのが適切か
では、この領域に起業家が参入するべき時期はいつなのか。渡辺氏は、「おカネになるビジネスになるのは2025年くらいではないか。今、VRやARにスタートアップが参入したら死んでしまうのでは」と疑問をぶつけるが、国光氏によると、対象となるビジネスによって、ピークを迎える時間軸がずれることになるという。
「工場や、企業の従業員教育など、BtoB市場ではすでにVRの導入は始まっている。ゲームが市場として大きく拡大するのは2018年から2019年と思われるから、今すぐ参入する必要があるだろう。社会性の高いものは、5年くらい先になる」(同)と予想する。スタートアップが参入するベストのタイミングは、ピークを迎える2〜3年前が鉄則だが、VR関連は少し事情が違うようだ。
「今のVRはBtoB向けがほとんど。しかし、未来の(消費者が使う)VR空間上のUI 、UXは、表示や手触り感など技術的な特殊性が強い。また、入力は当然音声になるから、その解析をするAIの活用も欠かせない。急ごしらえで後発参入できるものではないから、『ポストスマホ』時代を見据えれば、現時点で先行したプレイヤーが、そのまま勝つことになる。当然、今が張り時」(同)
イベントに参加していたVRのスタートアップ経営者は「VRに対しては既に地方自治体や企業など、様々なところから需要があるが、やれる人が絶対的に少ないので単価が下がりにくい。あまり世の中で理解されず、参入者がまだ少ない状況は自分にとって有利」と話す。メディアの取材も、極力受けないようにしているという。ノウハウやデータを専攻して蓄積できる上に、BtoB市場の競争も緩いということで、密かに春を謳歌しているようだ。
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