藤野 さらに来年1月からは、株式の譲渡益課税に軽減税率が適用されなくなりますから、今年のうちに一度、利益を確定させる動きが出てくる。その後、現金から株式に資金が戻ってくるかどうかというと、ここがまた難しい。株式市場にとっては、ちょっと厳しい場面があるかも知れません。
中野 あれ?自民党圧勝というのに、ネガティブな話題しか出てきませんね。
藤野 ポジティブな材料は法人税の引き下げ。秋口に出す成長戦略の目玉のひとつですが、問題はその中身です。よほどインパクトのあるものにならないと、マーケットはネガティブに受け取ってしまう。国内の設備投資を税額控除するというだけではダメでしょうね。一部からは消費税引き上げの先延ばしという声も上がってきていますが、これをやったら、それこそ株価は大きく下げます。だから法人税率をドラスティックに下げるしか、道はないでしょう。
増税先延ばしなら5.23ショック再来も。では、どうする?
中野 正直なところ、改革実行もなく、経済が成長軌道に乗っていない段階での消費税引き上げには反対なのですが、決まってしまった以上、これはグローバルなコミットメントですから、覆すことはできませんよね。もしそんなことをしたら、日本の信頼そのものが失われ、長期金利は急騰します。何しろアベノミクスは、財政を再建するということがセットになっているのですから。
藤野 そう。「5.23ショック」のような事態に直面することも考えられますよね。
渋澤 う~ん、法人税の引き下げの件なんだけど、日本の場合、法人税を納めていない会社が大半でしょ。特に中小企業では、ちょっとだけ赤字決算にしている会社がたくさんある。だから、単純に法人税率を引き下げたとしても、あまり効果はないんじゃないかな~。それよりも、中小企業でも大企業でも、法人税を払える企業が増えるような成長戦略をしっかり練ることの方が先だと思うんだけど。
藤野 その点で言えば、僕は上場廃止基準の引き上げを提案したい。
渋澤 ん?
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