「らしさ」にこだわるソニー新中計の本気度

「らしさ」にこだわるソニー新中計の本気度

「アップルばかりが話題になる現状、ナンバーワン企業ではない現状に(ソニー社員は)怒らなくてはならない」。ソニーが6月26日に開いた中期経営計画説明会で、ハワード・ストリンガー会長はこう危機感を語った。

新計画ではコンテンツ配信事業を軌道に乗せることが柱に据えられた。液晶テレビ「ブラビア」やゲーム機「プレイステーション3」に映画などを配信するものだ。携帯端末「iPod」へのコンテンツ配信を手掛ける米アップルに追撃をかけるべく、新事業は今秋にも北米で開始する。

ソニーは前中期計画の間に赤字のエレクトロニクス事業を再建。営業利益を2・6倍に引き上げる劇的な業績回復を実現した。だが、かつての「ウォークマン」のような消費者のライフスタイルを一変させる革新的製品を生み出せなかったのも事実。

一方でかつてソニーが再建を支援する可能性もあったアップルが大躍進、エレクトロニクス産業でも有力なライバルにのし上がった。ソニーにとっては業績回復を達成してもなお「社員が回復感を持ってしまってはいけない」(中鉢良治社長)状況といえる。

新計画には、ブルーレイ・ディスクなど4事業をそれぞれ売上高1兆円台に乗せ、BRICsでの売上高を倍増させるといった数値目標も盛り込まれた。が、経営陣は説明会でそれらの具体的内容について多くは語らなかった。数字で語りきれない「ソニーらしさ」を取り戻せるか、が完全復活のカギとなる。

(杉本りうこ 撮影:鈴木紳平 =週刊東洋経済)

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